反GMイネ生産者ねっとNo.422
2003年7月31日
以下は農林水産省が、日本モンサント社に出した通達です。
日本の農業、生産者、消費者を守るべき立場の農林水産省が、多国籍農薬企業であるモンサント社に対し、一旦安全性は確認したものの、その及ぼす影響を憂慮し、栽培に関して大きな制約を課したことが分かる文書です。農林水産省としては稀に見る適切な対応(お願い?)であり、省内にも真摯に世界的に起こっている情況を見つめ、組み換え作物の国内栽培に何とかして歯止めをかけようとする良心が存在する事を示しています。
通達は通り一遍のものではなく、この内容に照らすと今回の茨城での組み換えダイズの栽培は、国の課した手続きを全く行なっておらず、地元農家の強制鋤き込みは正当防衛と言えます。
遺伝子組み換え情報室 事務局
14農会第997号
平成14年11月21日
日本モンサント株式会社
代表取締役社長 殿
農林水産省
農林水産技術会議事務局技術安全課長 長谷川 裕
生産局農産振興課長 吉田 岳志
安全性が確認された組換え大豆を栽培する場合の留意点について(お願い)
ご承知のとおり、最近の組換え技術の発達に伴い、わが国においても商業栽培するための安全性確認(食品、資料、環境)がすでに終了している農作物が存在します。この中には大豆等のわが国における主要な農作物も含まれており、今後、農家等が試験的に導入し、一般ほ場で栽培されることも想定されます。この場合、食品、飼料、環境に対する安全性の観点からは、栽培することについてなんら問題はありません。
しかしながら、ご承知のとおり、現状において国産大豆については、需要者等のニーズを踏まえ、いずれの産地においても組換え大豆でないことを強調した販売作戦を持っているとともに、生産者から販売委託を受ける生産者団体等においても組換え大豆は一切取り扱わない方針となっております。こういった中、もとより大豆は自殖性が高い作物で、一般的には品種ごとに収穫・調整・流通しているものですが、一般ほ場で栽培される以上、万が一でも周辺の非組換え大豆との交雑や収穫物の混入といったことが起これば、生産・流通上の混乱を招かないとも限りません。
従いまして、組換え大豆の開発企業であります貴社におかれましては、農家等から組換え大豆の栽培に関し相談等が寄せられた場合、当該農家等に対し、安全性確認後の試験的栽培であっても、栽培に当たっては、事前に周辺地域、住民の理解を十分に得るとともに、栽培地が属する都道府県の大豆の生産流通担当部局、JA等の関係者に、事前に栽培に関する情報提供をおこなうことが必要であることを周知徹底していただきますようよろしくお願いいたします。
なお、別途、都道府県の担当部局に対しては、地方農政局等を通じ別添のとおり通知していることを申し添えます。
以上