遺伝子組み替え体の花粉はオオカバマダラ蝶の幼虫に有害
コーンの花粉はコーン畑の近隣の他の植物に付着し、その植物を食べる非ターゲット生物に摂食される。
我々が実験に使った花粉は、N4640-Btコーン及びそれとは無関係な非組み替え体から集められ、水で軽く湿らせたトウワタ(Asclepias
curassavica)の葉に、花粉をつけたスパーテルで軽くたたいて塗り付けた。花粉の密度はコーン畑で採集したトウワタの葉の上の密度と目で見て同じになるように決められた。トウワタの葉の摂取量、オオカバマダラの幼虫の生存率、そして最終的な幼虫の体重を4日間にわたって測定した。
Btコーンの花粉を塗布した葉を食べた幼虫の4日後の生存率(56%)は、非組み替え体コーンの花粉を塗布した葉、又は何も塗布しない対照群の生存率(いずれも100%、p=0.008)と比べて有意味に低かった(図1a)。非組み替え体コーンの花粉を塗布した葉の群の死亡率はゼロだったので、Btの花粉を塗布した葉の群の死亡は総てBt毒素の影響によると考えられる。
幼虫1匹当たりの葉の摂取量の全平均値は、花粉をつけない葉の対照群の摂取量(1.61±0.09)に対して、Btコーンの花粉を塗布した葉の群(0.57±0.14、P=0.001)も、非組み替え体コーンの花粉を塗布した葉の群(1.12±0.09、p=0.007)もいずれも有意義に低かった。しかしながら、そうした仮定的な摂食抑止だけでは、非組み替え体の花粉をつけた葉に比べて、Btコーンの花粉をつけた葉の摂食率が約2倍も減少したことは説明出来ない(p=0.004)。
Btの花粉の葉を食べた幼虫の摂食率の低下は幼虫の成長率の低下をもたらした:すなわち、実験の最後まで生き残ったBt花粉の幼虫の平均体重(0.16±0.03)は、花粉の無い葉で成長した幼虫の体重の平均値(0.38±0.02g、p=0.0001)の半分以下であった。
10日間花粉がまき散らされるが、この期間はオオカバマダラの幼虫が餌を食べる時期である(2)。
John E. Losey, Linda S.Rayor, Maureen E.Carter
アメリカ合衆国、ニューヨーク14853、イタカ
コーネル大学、コムストック・ホール、昆虫学部
(翻訳:河田昌東)