反GMイネ生産者ねっとNo.398

2003年7月11日

農業情報研究所(WAPIC)

 

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イギリス

GMナタネからスーパー雑草の脅威

地球の友調査

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 イギリスにおける除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)ナタネの栽培が除草剤耐性の「スーパー雑草」の発生につながるかもしれないという恐れが現実味を帯びてきた。

「地球の友UK」が、油料種子用ナタネと最も近縁の5つの野生植物種のイギリスにおける分布状態を示す地図を初めて完成した。この地図によると、花粉を介して耕地の作物と交雑することがわかっているこれらの種(野生のカブ、ホーリィー・マスタード、野生ラディシュ、ブラウン・マスタード、野生キャベツ)は国中に広がっている。もしGMナタネがイギリスのどこかで実際に栽培されれば、交雑はほとんど不可避だろうという。

 

 「地球の友」のプレス・リリースは、「科学者はGMナタネのイギリスでの栽培の許可は除草剤耐性遺伝子やその他の形質の近縁野生植物への逸出につながる可能性があると恐れている。もしこれが起きれば、それは農民にとっての雑草防除問題と野生動物生息地に問題雑草を生み出す除草剤耐性Wスーパー雑草”の発生につながる可能性がある」と述べる。

 

 リリースは、畑から2.5Km離れた場所でも低レベルの花粉が検出されたように、ナタネ花粉が風により遠くまで運ばれる可能性があること、スコットランドでは、ある巣箱の蜂が5Km離れたナタネ畑まで飛ぶことが報告され、地球の友が委嘱した研究では、蜂がGMナタネ実験サイトから4Kmの巣箱にGM花粉を運ぶことが発見されたように、蜂がナタネ畑を非常に好むことを指摘する。GM花粉が農場の車

や人々の靴に付いてはるか遠くまで運ばれることを明らかにした最近のフランス・リール大学の研究や、イギリス・ハンバーサイドのGM実験圃場でGMナタネと野生カブの間の高レベルの交雑(野生カブの種子の46%にGMが発見された)を発見した最近発表の研究も指摘している。

 

 地球の友のGMキャンペーンにかかわるピート・ライリーは、「これらの地図は、もしイギリスのどこかでGMナタネの栽培が許されれば、ほぼ確実に広範囲のGM汚染が生じるだろうことを示している。GM花粉は風・蜂・人間の接触を通してはるか彼方まで運ばれる可能性がある。この長期的結果は予測し難い。政府はバイテク産業がイギリスの環境で実験するのを許してはならない。GM作物はイギリスで営業的に栽培されてはならない」と言う。

 

 先月始まった政府資金によるGM作物の国民討議は7月18日に終わる。政府は、今年中にはイギリスでGM作物の営業栽培を許すかどうか決定する予定である。地球の友はこの討議への参加を呼びかけている。

 

 先月末には、政府の諮問を受ける立場の「イングリッシュ・ネイチャー」が、新たな世代の除草剤耐性作物の営業栽培が始まれば、厳格な規制が課されないかぎり、最悪の場合、パラコートや2.4Dのような古い除草剤を使わないかぎり退治できない「スーパー雑草」が生まれ、昆虫も小鳥も野生動物も死に絶えて、カントリーサイドが破滅すると警告した。

 

 10日付のガーディアン紙によると、明日、GM問題に関する三つの政府の研究のうちの一つが発表されるが、それは、イギリスではGM作物の経済的利益はないと報告するという。GM作物導入に躍起となっているブレア首相、マーガレット・ベケット環境担当相に対する逆風が強烈になってきた。

 

詳しくは農業情報研究所HPをご覧ください。

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/03071101.htm

 

 

 

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