GMイネ生産者ねっとNo.376

1.しょうゆの原材料を遺伝子「非」組み換え大豆に

  キッコーマンが切り替え

  03/06/14 中日新聞記事より

2.法的共存ルールなしのGM作物解禁に警告

  EU消費者団体

  03/06/13 農業情報研究所(WAPIC)HPより

3.インド:蛋白質増強GMポテト商用栽培へ

  03/06/12 農業情報研究所(WAPIC)HPより

 

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しょうゆの原材料を遺伝子「非」組み換え大豆に

キッコーマンが切り替え

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2003年6月14日

中日新聞

しょうゆ製造販売最大手の「キッコーマン」(本社東京)は、主力商品「キッコーマンしょうゆ」の原材料を遺伝子組み換えでない大豆に切り替え、13日までに生産販売を始めた。組み換え作物を敬遠する消費者のし好を反映した。最大手の同社が踏み切ったことで、業界内に動きが広がりそうだ。これまでは生産、流通の過程で組み換え、非組み換えの分別をしていない「遺伝子組み換え不分別」のアメリカ産大豆を原材料に使用していた。アメリカでは組み換え大豆が作付けの8割を占めており、不分別のものには組み換え大豆が含まれている可能性があった。

 

 遺伝子組み換え食品には使用を明記する義務表示が始まっているが、しょうゆと植物油は最終製品から組み換えられたDNAが検出できないとの理由で表示対象外。そのため、使用していても表示の義務はない。

 

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法的共存ルールなしのGM作物解禁に警告

EU消費者団体

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2003年6月13日

農業情報研究所(WAPIC)

1957年にヨーロッパで初めて組織され、欧州委員会が設置する様々な諮問委員会、とりわけ消費者委員会で消費者を代表する消費者組織・ユーロ・コープが、慣行・有機作物との「共存」問題の満足な解決策が取られる前の遺伝子組み換え(GM)作物栽培の解禁に強い懸念を表明している。5月25日に発表された「ユーロ・コープ、GM食品をめぐる真の消費者選択を要求」と題するそのポジション・ペーパーは、現在策定中の新たな表示規則・トレーサビリティーが消費者保護を強化することは間違いないとしても、農業生産の場で慣行・有機作物のGM作物による汚染の十全な防止措置が取られなければ、「農場から食卓」までの安全確保というこれら規則の基本原則が崩れてしまうと警告している。

 

 GM作物栽培が一般農地に広まったときに生じる「共存」問題は、2001年1月の「食品安全白書」以来の欧州委員会の研究課題をなしてきた。今までの研究は、組み換え遺伝子による他の作物や近縁野生種のある程度の汚染は避けられないこと、汚染レベルを許容限度内に抑える汚染防止策は作物・地域ごとにことなり、その経済的コストも大きく異なり、ある種の作物によってはそれが「禁止的」でさえあることを示している。こうして、欧州委員会は作物特定的な汚染防止策とともに、様々な生産システムの共存を確保するための有効で、コスト節約的な手段を探ってきた。また、遺伝子の偶然の混入の際の経済的損失の補償の問題の解決策も探ってきた。

 

 このような研究を通して欧州委員会が固めてきた立場は、作物はGM作物が登場する前から幾世代にもわたり交雑し、選抜されてきたものであり、「共存」は新しい問題ではなく、GM作物・慣行作物・有機作物の生産者による自由な選択の確保の問題(慣行・有機作物のGM作物による汚染だけでなく、GM作物の慣行・有機作物による汚染も同じほどに問題)だというものである。こうした汚染の防止策とそれに伴う経済的コストは作物とロケーションにより異なり、自由な選択の最適な確保のための有効な手段はEUレベルの法的手段によってではなく、各国が考えるべきものだというのが現在の欧州委員会の立場である。フィシュラー農業担当委員は、4月に行なわれた共存問題に関する関係者の大規模な会合でこのような考えをはっきりと表明、5月の農相理事会では、この会合が彼の立場を確認させたと報告している。こうして、欧州委員会は、今、共存確保のための「自主的指針」の準備にかかっている。

 

 このような欧州委員会の立場に対して、ユーロ・コープは、食料チェーンの出発点である種子の偶然の汚染は避け難いと認めるが、それは可能なかぎり低レベルに抑えねばならず、GM作物が広く栽培されるときにはこのような汚染の機会は一層増えるから、このリスクを管理する共存対策が不可欠になると主張する。共存が自由な選択の確保だというのは間違っており、GM作物が慣行・有機作物に汚染されてもいかなる問題も起きないが(認証種子生産の場合は除き)、慣行作物栽培者は汚染を許容レベル以下に抑える義務があるし、有機栽培者は、基本的にはGMゼロを確保しなければならない。ユーロ・コープは、こうした条件を満たすためには監視が重要な手段になるが、これが有効であるためには、公的監視機関か、完全に独立の民間機関によって適切に行なわれねばならないと主張する。

 

 ユーロ・コープは、さらに責任の問題の解決では法的に拘束する共存ルールが重要な役割を演じると主張する。「良好な農業慣行」やガイドラインは共存措置の適切な実施の確保に有益ではあるが、法的に拘束しないから、これに反した生産者に何の法的要求もできない。

 

 責任問題に関する現在の欧州委員会の立場は、負担は選択した耕作方法から利益を得る経済事業者(農民、種子供給者等)が負うべきだということだが、これでは汚染のコストはすべての経済事業者が負うことになってしまう。ユーロ・コープは「汚染者負担原則」を適用すべきであり、GM作物を望まない生産者や消費者が共存措置のコストを負わされてはならないと主張する。このために強制保険計画がなければならないが、保険業界はGM作物から生じる長期的リスクは定量できないからと、こうした汚染をカバーする保険計画をもたない。ユーロ・コープは、こうした汚染を受けた者を保護するための責任の取り方をEUが定めるように要求している。

 

 環境責任に関する欧州委員会のEU指令案は、まさに汚染者負担原則の実施を定めるものであるが、GMOが引き起こす問題は対象となっていない。しかし、欧州議会は、5月14日、この指令案にこの責任の問題に関する法的フレームワークを追加することを提案した。ユーロ・コープは、この欧州議会の提案を歓迎している。しかし、この指令案については、EUの主要農業者団体は、既存の法令の制限内で使用された農薬・肥料・GM作物などの投入で引き起こされた、あるいは不適切な認可手続のために引き起こされた環境損傷については、農業者は責任を負えないと強く反発している。指令の行方はまだわからない。

 

 なお、欧州議会は、5月22日、法的ルールによる共存確保の提案を採択している。

 

 それにしても、農業者が実験と称してGM大豆を勝手に自分の畑に栽培して何のとがめもない日本とは大違いである。これは農業者、とりわけ有機農業者の問題であるだけではなく、日本の農業・自然環境全体、そして食料にかかわる問題である。EU並みの国民的論議を始めるべきときではなかろうか。

 

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インド:蛋白質増強GMポテト商用栽培へ

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2003年6月12日

農業情報研究所(WAPIC)

遺伝子組み換え(GM)技術により免疫システムを強化したり、栄養価を高めるいわゆる「機能」食品を作り出す試みが世界中で凌ぎを削っているが、何年も前からのこの約束はなお実用に至っていない。しかし、近い将来、インドが先頭を切って、このような作物の商用栽培に漕ぎつけそうである。イギリスのBBCニュースやガーディアン紙が伝えるところによると、インドは、蛋白質やその他の栄養の含有量を大きく増やした「プロタト」と呼ばれるGMポテトの商用栽培を6ヵ月以内に承認するだろうという。

 

 このポテトは、南米を原産地とし、健康食品店で広く売られているアマランスから採取したAmA1と呼ばれる遺伝子を追加したもので、蛋白質含有量は通常のものより30〜50%多く、リジン、メチオニンといったアミノ酸も多く含むという。インド政府のバイオテクノロジー部・遺伝子組み換え審査委員会をリードするアシス・ダッタに率いられた研究チームが開発しているもので、現在3年目のフィールド実験を行なっている。バイオテクノロジー部長のマンジュ・シャルマは、このポテトを学校給食に使い、数百万の貧困児童の栄養不良を改善すると言っている。

 

 しかし、インドの中心的食品アナリスト・デヴィンダー・シャルマは、この国が必要としているのは豆であり、インドで伝統的に利用されている豆は20〜26%の蛋白質を含むが、このポテトは2.5%含むだけだと言う。批判者は、子供の栄養不良をもっと簡単に、安く解消できるはるかに栄養価の高い別の通常栽培食品があると批判している。開発の目的は、機能食品開発レースの先頭に立ち、ポテト世界市場を制することを狙ったものという見方もある。インドは、現在、世界29ヵ国に1万8千トンのポテトを輸出、バングラデシュやその他の途上国への種イモの主要供給者であるという。

 

 

 

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