GMイネ生産者ねっとNo.366

2003年6月9日

農業情報研究所(WAPIC)

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イギリス:GM大豆飼料の有機チキンが発覚

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イギリスの「インデペンデント・日曜版」が遺伝子組み換え(GM)大豆で不法に飼育された1200の有機チキンの投げ売りを余儀なくされたと報じた。この大豆は、EUの禁止に反してイタリアから来たもので、昨年末にデボン北部の通常の飼料検査でGM大豆混入が発見された。有機食品がGM汚染で販売を止められたのはイギリスで初めての事という。この発見により、イギリス最大の有機認証団体である土壌協会(ソイル・アソセーション)は関係農民に緊急警告を発し、汚染飼料を購入したすべての有機農家を追跡せざるをえなくなった。関係農家は有機チキン販売のライセンスを剥奪され、非有機チキンとして最低の価格で販売した。

 

イギリスでは、今月初めから、GM作物の商用栽培の許可の是非をめぐる政府が組織した国民的論議が始まっている。政府は既に許可を結論しており、それを正当化するための論議にすぎないという強い批判が渦巻いているが、この事件が、なおGM食品懐疑派が圧倒的に多い国民の政府による説得の試みを一層困難にするであろう。環境担当相・マーガレット・ベケットと食品基準庁(FSA)は、「GMフリー」表示の食品の偶然のGM汚染の限界を厳しくする案(欧州議会は0.5%案を採択している)に強く抵抗しているが、事件はこれをめぐる論議にも影響するかもしれない。

 

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スイス:連邦裁、有機製品は微量のGMOを含み得る

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マスコミ報道によると、スイス連邦裁判所が有機トウモロコシは微量の遺伝子組み換え体(GMO)を含む事ができるとして、GMOゼロを唱えるジュネーブ州保健部の主張を退けた。連邦裁によれば、ジュネーブ州当局は厳しすぎ、有機農業法の準備作業のなかでも、これに対する支持がないという。

 

事件は、2001年3月、ジュネーブ州の化学者が有機トウモロコシ中に0.01%のレベルのGMOを発見した事から始まった。州消費者保護局はこれを販売した会社を譴責、分析費用600フランの負担を命じた。消費者保護局は、GMOを含む製品を「有機」の名で販売するのは有機農業に関するオルドナンスへの明白な違反とした。州行政裁判所、スイス化学者協会も同意見であった。しかし、連邦裁は有機農業法に別の解釈を与えた。故意の行為の結果としてではない1%を超えない微量のGMOを含む食料品は有機と表示することを許されるという。

 

有機農業者自身、GMOゼロというのはまやかしであると認めている。彼らによれば、有機農業は「孤島」ではない。GMOゼロは有機農業を不可能にするバリヤーとなる。Bio Suisseは非現実的な保証は望みもしないし、不可能だと言う。

 

なお、スイスでは、議会下院が5月にスイス農業生産におけるGMOの使用を5年間にわたり一時的に禁止する法案を採択したが、6月に入り、上院が、消費者の選択の自由を確保し、スイスにおけるバイテク研究を阻害してはならないと、この一時禁止案を否決している。

 

 

 

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