GMイネ生産者ねっとNo.354

2001年10月10日

オースティン・テキサス大学

遺伝子操作種子会議にて

訳:道 長

           

パーシー・シュマイザー氏講演 ■4■

『バイテクが農家と消費者の権利を脅かす』

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私の場合もそうだったんですが、もしある農家が法廷で私にとって不利なことを証言したとすると、もちろん彼らは現金では支払わないんですが、現金2万ドル分の農薬を彼に対して提供するんです。その農家はすでにこのことを認めています。

 

農家では自分の種子がある種のカビや病気の予防のために、種子消毒を頼むために、種子の処理業者のところへ行くことがあるんです。そういう会社へ行き、種子の処置を頼むわけです(私の場合もそうです)。そこには商品をよく負けてくれる経営者がいるんですが、モンサントとねんごろだったんです。基本的に賄賂の受け渡しがあったんです。その会社では見返りに、農家の知らないうちにそれぞれの農家の種子のサンプルを、モンサント社に供給していたのです。彼らがしていたことというのは、それぞれの農家の種子を抜き取って、モンサントに横流しする見返りに値引きを受けることだったんです。モンサントの堕落ぶりはこのようなレベルなんです。

 

あるサスカチュワンの農家の、えーと一軒だけじゃないんですが、その家の奥さんははっきりものの言える人なんですけど、モンサントの捜査官が家に来たので、厳しく追い返したんです。すると彼らは「見つけてやるからな」と言ったんです。そして一週間ほどたって、一機の飛行機がその農家のカノーラ畑の上を飛んだんです。それを、何をしているのかわからなかったわけです。また一週間か10日ほどして、別の計画が行われました。そこの人が収穫に行って、気がつくわけです。それぞれのカノーラ畑に30フィートほどに渡る円い点が付けられている。そこのカノーラは枯れてしまっているんです。ここでやっとその農家は、モンサントが(小型のスプレー爆弾を持ってるんです)スプレー爆弾を使ったことを知るわけです。彼らは農家の畑の上空へ行ってそれを落とす。もしそこのカノーラが枯れたとすると、そこではGMカノーラが栽培されていないことがわかるというわけです。そして、もし枯れなかったとしたら、その農家のついているうそがバレるというわけです。この程度のことは、彼らはするんです。

 

みなさんに注目していただきたい事柄がいくつかあります。基本的には、GMの争点には3つあります。第一に、私の関わっている問題;特許権対所有権、つまり世界中どこでも、自らの種子を使うことができるという農家の権利です。それが私の言いたい点です。第二に、GM食品の健康と安全性です。そして第三に、環境へのダメージ。それらのことについて、大雑把に触れておきたいと思います。

 

ご承知のように、カナダにも、米国にも純粋なカノーラの種子など存在していません。すべて汚染されています。同様な大豆の種子についても存在しません。これも汚染されているのです。

 

それでどうなんでしょう? 今となっては、北米の有機農家たちは、有機のカノーラ、あるいは有機大豆を作ることはできません。すべてが汚染されてしまっています。ふたつの作物が彼らの手によって奪われたのです。私たちの市場ですが、欧州へはカノーラは売れません。この汚染のために、農家のこうむる経済的損失は計り知れません。有機農家は作物を売ることができないんです。米国のコーンやスイートコーンの生産者は、失われたセールスで概算10億ドルを損失しました。これらのことは経済的に起こっていることの一部です。

 

完全に封じ込めることなどできません。ロドニーが言ったように、花粉は風だけによって移動するわけではない。花粉は動物の毛や鳥の羽根、自動車からも振りまかれるんです。だから、封じ込めるなんてできない。モンサントは「我々は広い幅を保つ緩衝帯のある試験ほ場を確保します」と言うけれども、封じ込めるはずがないのです。

 

世界中の農家に訴えてきたことは、そのような契約を交わしてはいけませんよということです。自らの種子を使うという権利を絶対に放棄してはいけません。もしそうしたら、彼らは大地の奴隷と化してしまうでしょう。それが、自家の種子の調達を守ってゆかなくてはいけない理由です。いくつかの世界の優秀な種子、作物は、科学でもなければ研究者よって作り出されたわけでもないんです。モンサントのような会社の手に握られた種子の供給の統制を許せば、そのような創造活動は失われてしまうでしょう。

                                        つづく

 

■シュマイザーさん講演の原文は『mindfully.org』のHPにあります。

http://www.mindfully.org/GE/GE3/Percy-Schmeiser-UTAustin10oct01.htm

 

 

 

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