GMイネ生産者ねっとNo.338

2003年5月17日

消費者リポート

 

1.パーシー・シュマイザーさん 来日決定  

2.大豆畑トラストが面白い  

 

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モンサント社と闘うパーシー・シュマイザーさん来日決定

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 アメリカでは2003年度、作付けされる大豆のうちの約8割が遺伝子組み換え大豆になると予測されています。日本での大豆の自給率はわずか5%。最大の輸入国である日本では、家畜の飼料、食用油、醤油、味噌などの形で遺伝子組み換え大豆を大量に食べさせられることになります。

 

 昨年、全国的な市民運動により、愛知県とモンサント社による除草剤耐性イネ「祭晴れ」の共同開発を阻止し(1208号)、モンサント社の日本での遺伝子組み換えイネの開発は頓挫した形となりました。しかし、今年も「バイオ作物懇話会」とモンサント社によって、国内での遺伝子組み換え大豆栽培計画が進められています(1205号)。日本で遺伝子組み換え作物が栽培されると、遺伝子汚染の問題が現実化する危険があります。

 

種子汚染の被害者を襲うさらなる被害

 カナダの農民、パーシー・シュマイザーさんは、半世紀にわたって種子を自家採取してきました。ところが、周囲に遺伝子組み換え作物が植えられたために種子汚染の被害にあいました。開発したモンサント社は、組み換え遺伝子による汚染を起こしておきながら、シュマイザーさんを逆に特許権侵害で訴えたのです。カナダの裁判所での二審までの判決は、「遺伝子汚染を受けた側が、汚染者に対して特許料を払わなくてはならない」というものです。すでにシュマイザーさんは、日本円で約2000万円という莫大な賠償をさせられています。

 

生産者と消費者で国内作付けを止めよう

 遺伝子組み換え食品いらない!キヤンペーンは、4月15日に「遺伝子組み換え作付け反対集会全国実行委員会」(仮称)を立ち上げました。モンサント社と闘い続けているシュマイザーさんを日本へお呼びして、6月27日の来日から、熊本、徳島、大阪、愛知、東京、山形、北海道など全国7か所での講演を予定し、日本国内での遺伝子組み換え作物の作付け中止を目指しています。全国各地で生産者、消費者が一丸となって、シュマイザーさんの話から、遺伝子組み換え作物が作付けされた場合の危険性を知り、反対運動を強めていこうではありませんか。皆様のご協力を心からお願いいたします。(古賀真子)

 

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大豆畑トラストが面白い

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思いを込めた国内産大豆で作る豆腐、味噌、醤油、納豆は本当に美味

 とにかくやってみようと始まった大豆畑トラスト運動は、今年で6年目になります。当初2%だった大豆の自給率は現在5%に伸びました。豆腐や納豆等、大豆食品の国産割合は、14%から24%に飛躍的に伸びています。大豆畑トラスト運動とともに各地で消費者と生産者が提携して大豆の生産を高める試みが広がっていることに加えて、政府による米の転作奨励策が生産を高めています。各地で大豆畑が広がって、水田地帯がいつの問にか大豆畑になり、農村の風景が変わってしまったところもあります。

 

 米を作るより有利と大豆に転換していますが、生産量が増えた分価格が下がっています。いまのところ交付金が大豆生産の後押しをしていますが、輸入大豆の価格はそれ以上に安いですから、政府の生産奨励策も風前の灯火です。交付金が出なくなったら、農家は大豆作りもやめてしまうでしょう。そこで、大豆畑トラスト運動の出番です。

 

遺伝子組み換えでない大豆畑を広げよう

 大豆畑トラスト運動は、消費者が大豆畑に一定の金額を出資し、その畑で取れた大豆を受け取る仕組みです。大豆は一年一作ですし、気象変化の影響を受けやすく、反収(たんしゅう)が低いですから、農家にとって作りにくい作物です。先の見えない政府の政策に頼らず、自立した大豆作りを保証する運動です。それとともに、「遺伝子組み換えでない大豆畑を広げていこう」がこの運動の原点です。昨年、山形県の新庄では異常に早い冬の訪れのため、大豆が雪の下になって1口当たり600グラムの大豆しか届けられませんでした。収穫皆無も覚悟して出資することが会員との申し合わせですが、いざ現実となると農家は悩みます。実際に他のトラストから大豆を分けてもらって消費者に届けた生産地もありました。新庄では、遺伝子組み換えでない大豆畑を増やすことが第一の目的なのだからと、消費者も納得しました。

 

種類豊富な日本の地大豆

 遺伝子組み換えの大豆を栽培しようという推進側の運動が始まっています。昨年までは花が咲く前に畑に鋤きこんでいましたが、今年は大豆になるまで栽培する試みか全国20数か所で行なわれようとしています。分別するシステムがありませんから、国内で組み換え大豆が栽培されたら混入は避けられません。安全な国産の大豆を増やそうという努力が無になります。アメリカでは、1種類のモンサント社の組み換え大豆の畑が80%に及ぼうとしています。人々の暮らしとはまったく関係ない風景です。「地大豆」という言葉で象徴されるように、日本では昔からたくさんの種類の大豆が生産され、地域の人々の暮らしを豊かにしてきました。トラスト大豆で作った味噌や豆腐は何よりおいしいと実感します。

 

 トラスト運動に参加して、組み換え大豆はいらないという強い意思を示しましょう。そして大豆と米を中心にした日本の食文化を守りましょう。     

(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 小野南海子)

 

 

 

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