反GMイネ生産者ねっとNo.288
2003年3月4日
農水省HP
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昨年12月末、名古屋港での検疫で、食品用トウモロコシからスターリンクが検出されましたが(反GMイネ生産者ねっとNo.256を参照)、以下の報告はGM利用飼料についてのモニタリング検査の結果(農水省HP『記者会見・報道発表』で参照)。
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平成14年12月27日
農水省生産局畜産部飼料課
組換え体利用飼料のモニタリング検査結果について
遺伝子組換え体トウモロコシであるスターリンクについては、平成12年4月以降独立行政法人肥飼料検査所において、我が国に輸入される飼料用トウモロコシ中の混入のモニタリング検査を実施してきたところです。
本検査について、平成14年度上期までの結果を取り纏めましたのでお知らせします。
問い合わせ先
生産局畜産部飼料課検査指導班
担当者 元村、功刀
内線番号 4015、4004
直通番号 03-3501-3779
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組換え体利用飼料のモニタリング検査結果について
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1 経緯
(1)米国において飼料用としての安全性が確認されているが、食品としての安全性が未確認の組換え体トウモロコシであるスターリンクについて、米国内で食品に混入していたこと及び我が国においてもスターリンクが検出されたとの消費者団体からの指摘があったこと等を受けて、平成12年4月に、独立行政法人肥飼料検査所において飼料中の混入についてモニタリング検査を開始した。
(2)日本に輸出される飼料用トウモロコシへのスターリンク混入を防止するため、米国において輸出前検査を実施することについて平成12年12月に日米間で合意がなされている。
(3)また、従来、組換え体利用飼料の安全性確認は「組換え体利用飼料の安全性評価指針」に基づき実施してきたが、安全性確保を一層確実にするため、安全性確認を法的に義務付けることとして本年11月26日付けで「飼料及び飼料添加物の成分」規格等に関する省令を改正来年4月1日から適用することとしたところでありこの際、我が国で安全性が未確認の組換え体のうち、我が国と同等又はそれ以上の水準の安全性に関する審査の制度を有する外国政府の審査により安全性が確認されているものについての意図せざる混入については、一定の許容基準を設定しているところである。
(4)なお、我が国においてスターリンクの組換え遺伝子及びそれによって生じたたん白質が畜産物中に移行しないこと等については給与試験により確認されているが、「組換え体利用飼料の安全性評価指針」に基づく安全性の確認については、米国内での作付けが平成13年以降行われていないこと等のため申請が取り下げられている。
2 検査結果
(1)検査対象:飼料原料であるとうもろこし(平成12年4月以降、独立行政法人肥飼料検査所が採取)
(2)検査実施主体:独立行政法人肥飼料検査所
(3)検査方法:PCR法及びELISA法
(4)結果の概要:
スターリンクの混入については陽性率及び混入率とも低下傾向にあり、平成14年度上半期では陽性率で%、混入率で%となっている(詳細は別紙のとおり。)
3 今後の対応:スターリンクについては以上の経緯等を踏まえ、今後ともそのモニタリングを継続し、状況把握に努めるとともに、今回公表した結果については米国に伝えて、一層の改善を求めてまいりたい。
スターリンクモニタリング検査結果
米国から輸出される飼料用トウモロコシについては、平成12年度上半期では、陽性率で67%、混入率では0.5%のスターリンク混入が見られたが、平成12年12月の日米合意に基づきスターリンクの有無について輸出前検査が実施されてきたこと、平成13年以降米国内でのスターリンクの作付けがなされていないことから、平成14年度上半期では陽性率で10%、混入率で0.1%と、陽性率及び混入率とも着実に低下している。
採取時期 陽性率 混入率
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12年度上半期 20/30 0.51%
(4〜9月) (66.7%)
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12年度下半期 34/72 0.17%
(10〜3月) (47.2%)
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13年度上半期 8/53 0.05%
(4〜9月) (15.0%)
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13年度下半期 5/45 0.09%
(10〜3月) (11.1%)
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14年度上半期 4/42 0.10%
(4〜9月) (
9.5%)
注)陽性率:陽性検体数/検査検体数
混入率:陽性検体中に含まれスターリンクの割合
(陽性検体中の平均値)で、ELISA法で測定
1 スターリンクとは、アベンティス・クロップ・サイエンス社(フランス)が開発した殺虫性たん白質( Cry9C)を産生する遺伝子を挿入した遺伝子組換えトウモロコシ(CBH351)の商品名である。スターリンクは米国内では飼料用としての使用が認可(平成10年5月)されている。我が国では平成13年2月にアベンティス・クロップサイエンス・ジャパン社から安全性確認申請が提出されたが、その後@同社の親会社であるアベンティス・クロップ・サイエンス社がバイエル社に買収され、この際バイエル社がスターリンクの権利を継承しなかったこと、Aスターリンクの米国内での栽培が平成13年以降なされないこととなったこと等から安全性確認申請を取り下げる旨の届出があり受理されている。
2 スターリンクについては、消費者及び畜産農家等への情報提供を行うことを目的として通常の安全性確認の手続きとは別に家畜への給与試験を実施済みであるこの結果、ブロイラー、採卵鶏、乳牛及び肉豚のいずれについても、健康状態、畜産物の生産性に異常は認められず、畜産物中への組換えDNA及びこれによって生産されるたん白質であるCry9Cの移行も認められなかった(平成13年公表済み。)
畜 種 健康状態 畜産物の 畜産物中の 公表時期
生産性 Cry9C蛋白質
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ブロイラー 異常なし 異常なし 検出せず 平成13/02/02
採卵鶏 異常なし 異常なし 検出せず 13/04/06
乳 牛 異常なし 異常なし 検出せず 13/04/06
肉 豚 異常なし 異常なし 検出せず 13/07/19
3 平成14年11月26日付けで「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」を改正し、飼料が組換え体を含む場合は、安全性について農林水産大臣の確認を受けたものでなければならない(ただし、我が国と同等又はそれ以上の水準の安全性に関する審査の制度を有する外国政府の審査により安全性が確認されているものについて、組換え体の混入率が1%以下の場合はこの限りでない)ことを定め、来年4月1日から適用することとしたところ。
注 遺伝子組み換え情報室 事務局
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タイトルの「組み換え体利用飼料」とは、一般の「不分別」の飼料ですが、いつのまにか従来の普通の飼料は簡単には入手できなくなり、特別のルートで「分別」し、そのコストにかかる費用も負担しなければならないようになってしまいました。「組み換え体利用飼料」というのは、現在の遺伝子組み換え作物のほとんどが飼料用作物であり、日本へ輸入される飼料のほとんどが遺伝子組み換えとなっている実態から名付けたのでしょうか。農水省の認識がよくわかります。
データもさることながら、参考としての3に述べているのは、「わが国で安全性が確認されてなくてもわが国と同等又はそれ以上の水準の安全性審査の制度を有する外国政府の(?)・・・で確認されていれば、混入が1%以下であれば良い」という訳の分からない基準が述べられています。