GMイネ生産者ねっとNo.259

2003年1月7日

農業情報研究所(WAPIC)HP

 

1.インド、米国のGM食糧援助を拒否

2.米国消費者、有機食品は受け入れ、GM食品では混乱

 

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1.インド、米国のGM食糧援助を拒否

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 Financial Timesが自ら得た情報として伝えるところによると、インドが、遺伝子組み換え(GM)食品を含んでいたことを理由に、米国からの食糧援助の大量の船荷の受け入れを拒んだ。慢性的栄養不良に悩むインドの一部地域に向けられた米国政府の年間1億ドルにのぼる食糧援助の一部をなすトウモロコシと大豆の船荷がGM成分を含むと考えられている。

 

 インド政府の決定に対して上訴している米国は、米国では、通常、GM食品は非GM食品と混ぜられているから、トウモロコシの船荷がGM成分を含まないと保証することはできないと言っている。米国の上訴が拒否されれば、インドにおけるGM作物の商業的開発にマイナスの影響を与える可能性がある。

 

 昨年、ザンビアは、GM成分を含むことを理由に、国際食糧援助を拒み、強い批判を浴びたが、昨年、この船荷を拒んだインド委員会の議長は、GM食品それ自体には反対しないが、「もし人間の健康にダメージがあり得るなら、いかなる輸入も拒否する権利がある」と言う。

 

 昨年、インドは、Bt棉の導入−インド初のGM作物承認−に青信号を出したが、以来、インドのGM政策を決定する委員会が定期的に開かれ、あるいはマスタードなどの他のGM作物の承認を延期している。食糧援助の拒否は、遺伝子組み換えに関するインドの立場の混乱を深めることになった。

 

 今月末に審理されることになろう米国の上訴は、インドが、将来、GM成分を含む貿易または援助輸入を受け入れることになるかどうかに関する明確なシグナルを提供することになりそうである。また、それは、GM食品一般に反対する国内政治勢力にインド政府がどう対処するつもりなのかのシグナルともなり得る。

 

 インドのエコノミストは、国は第二の「緑の革命」を是非とも必要としていると言う。インドは、現在、6千万トン以上の食糧ストック(世界全体の4分の1)を持つとはいえ、このところ、人口増加のスピードが収量増加のスピードを上回るようになっている。多くの政府科学者は、GM作物が国の長期的食糧安全保障への解答であると考えている。しかし、政府高官は、GM成分が含まれるかどうか明確な表示がないかぎり、インドが一層の食糧輸入を受け入れるのは難しいと言う。インド環境省高官によれば、「我々はそれぞれのGM問題をケース・バイ・ケースで調査する権利がある」。

 

 大雑把に言って、米国のコーン生産の3分の1、その大豆生産の4分の3は遺伝子操作されたものである。

 

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2.米国消費者、有機食品は受け入れ、GM食品では混乱

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 米国の食品マーケッティング研究所(FMI)とPrevention誌が昨年12月16日に発表した研究(注)によると、米国の食品購入者の60%以上が有機食品は健康により良いと信じているが、遺伝子組み換え食品については見方が分かれ、混乱している。

 

 研究に関する速報は、結果を次のように要約している。

 

 2002年には、有機食品、特に果実と野菜の購入者はかつてなく増えたが、彼らが好む食品の有機バージョンを購入した者は、多分、これら製品が高価なために、40%以下にとどまった。Preventionの研究マネージャーは、「調査は、ますます多くの購入者が、健康に良いと感じて有機果実・野菜を購入するようになっているが、何らかの理由で他の食品の有機バージョンの購入を控えている。我々の得た知見は、価格が中心的理由であると示唆している。新たな有機表示基準(参照:米国:農務省の新たな有機基準とシール、製品が真に有機であることを消費者に保証)により、購入者は彼らが何を購入しているかをもっとよく知ることになる。有機食品の増加が価格を競争できるレベルまで引き下げるだろう」と言う。また、FMIの研究部長は、多くの消費者が有機食品をダイエタリィ(食事)・プランに組み入れるようになっているから、食品小売業者は次第に有機食品を健康食品販売戦略に組み入れるようになっており、この分野での競争激化が消費者の製品と価格の選択の幅を広げるだろうと言う。

 

健康への関心が有機食品販売の推進力

 米国の食品購入者の大半、61%の購入者が有機食品は健康により良いと感じている。実際、半分を大きく上回る57%が、健康の維持のために、過去6ヵ月の間に有機食品を購入するか、使用している。この比率は2001年には50%であった。

 

 有機果実・野菜は最もポピュラーな食品で、過去6ヵ月の間に38%が購入し、20%が将来もそうするだろうとしている。有機穀物・パン・パスタも人気が高く、27%が購入、有機酪農製品は26%が購入している。

 

 有機食品の購入場所については、72%の購入者が普通の食品雑貨店、55%が地方のファーマーズ・マーケットで購入している。

 

 健康維持のための有機食品使用には地域差がある。北西部(38%)及び西部(35%)の購入者は、中西部(26%)、南部(31%)に住む購入者よりも、健康維持のために一層多くの有機食品を購入しているようである。

 

遺伝子組み換え食品は混乱を生む

 米国食品購入者の遺伝子組み換え(GM)食品に対する見方は分裂しており、混乱している。このような食品を受け入れられるかどうかの問いには37%がイエス、46%がノーと答えている。しかし、遺伝子組み換えの目的(病害虫抵抗性の、あるいはより費用のかからない作物を栽培するなど)に関する昨年の調査を含めると、受容できるとする購入者は60%〜70%に増える。

 

 このような違いにもかかわらず、65%の購入者は、科学者は遺伝子操作の影響をコントロールする術を十分に知らないと感じており、60%の購入者は彼らが食べる食品がGM成分を含むかどうか知りたいを思っている。

 

 以上のデータは、全国を代表するサンプル・1000人の成人に対する2002年2月に行なわれた電話インタビューから得られたものである。調査結果との誤差の範囲はプラス・マイナス3%とされている。

 

 

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