GMイネ生産者ネット 245246

 

125日愛知県議会 県小野寺農林水産部長の回答

 

以下、2点の答弁に補足されたものです。

遺伝子組み換えイネ研究成果の取り扱いについて

@ 6年間の研究の結果、除草剤抵抗性遺伝子を導入した有望な系統を作出できる見通しがたったので、平成153月末日をもってモンサント社との共同研究を終了する。

 

A 作出した遺伝子組み換えイネについては、消費者に不安感もあり、商品化に必要な厚生労働省への安全性審査の申請は行わない。

 

遺伝子組み換えイネの研究に関する愛知県の方針について(愛知県小野寺農林水産部長)

 この研究につきましてはさまざまなご意見がございます。今回全国から多数の署名の提出があり、遺伝子組み換えイネの商品化について、多くの方が不安を持っておられることをあらためて承知いたしました。         共同研究についてでございますが、モンサント社との共同研究は、除草剤耐性イネ品種を育成するための系統作出が目的でございまして、現在の共同研究期間は来年の3月末まででございます。本年度の実験におきましてはこれまでに育成いたしました3系統の中からもっとも良いものを選び出す目的で行ってまいりましたが、ほぼ初期の目的を達成することが出来ましたので、共同研究は本年度で終了いたします。

また県政モニターアンケートの結果なども考慮し、商品化に必要な厚生労働省への安全性審査の申請は行わないことと致します。

尚、今回習得いたしました遺伝子組み換え技術につきましては、現在行っております花の新品種の開発の研究に生かしていきたいと考えております。

 

 

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02/12/13 日本農業新聞

 

組み換え稲の開発中止要請 モンサント社に市民団体

 

愛知県が、遺伝子組み換え(GM)稲「祭り晴」の商品化を断念したことを受け、市民団体が12日、同県と共同開発している日本モンサント社を訪れ、日本でのGM稲の研究・開発をすべて中止するよう申し入れた。これに対し同社は、「今後は社内で検討するが、実質、愛知県がやらないと言えば商品化はできない」と、事実上の方針転換を明らかにした。

 

 GM稲開発に反対する消費者団体は今年、58万人の反対署名を集め愛知県に提出していた。5日の県議会で、県農林水産部長が20033月末をもってモンサント社との共同研究を終了するとこたえ、商品化に必要な安全蕃査は行わないことを明言していた。

 

 

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                                                           20021212

 日本モンサント株式会社

代表取締役社長 山根 精一郎 殿

                                              遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン

            代表 天笠 啓祐

 

遺伝子組み換え稲の開発中止を求める申し入れ

 

 去る1117日、愛知県名古屋市で遺伝子組み換え稲に反対する全国集会が開催され、600人が参加しました。その日までに集められた、貴社と愛知県農業総合試験場が共同開発してきた、遺伝子組み換え除草剤耐性稲「祭り晴」に反対する署名が、翌日、愛知県農業総合試験場で県に提出されましたが、その数は257,730筆で、7月に提出した署名と会わせて580,830筆に達しました。全国で、遺伝子組み換え稲に反対する声は広がっています。

 この集会や署名を受けた形で、125 日に開かれた愛知県議会で、除草剤耐性稲「祭り晴」の開発が中止され、商品化が行われないことが明らかになりました。

 愛知県農林水産部長は、「作出した遺伝子組み換え稲については、消費者等に不安感もあり、商品化に必要な厚生労働省への安全性審査の申請は行わない」と明言しました。

 このことは、国民だけでなく、自治体もまた、日本では遺伝子組み換え稲は必要ないことを、示したことに他なりません。そこで貴社に対して次のことを求めます。

 

                                

 

1、日本での遺伝子組み換え稲の研究・開発を中止すること。

2、日本市場向けの遺伝子組み換え稲の研究・開発を中止すること。

3、日本で遺伝子組み換え稲の種子や苗の販売は行わないこと。

4、米国等、海外で作付けした遺伝子組み換え稲を日本に輸出しないこと。

 

 

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02/12/11 農業情報研究所(WAPIC)HP

 

EU:環境相理事会  

GMOトレーサビリティ新規則で政治的合意

 EUの環境相理事会は、9日、遺伝子組み換え体(GMO)及びそれから生産される食品・家畜飼料のトレーザビリティと表示に関する欧州議会・理事会規則案についての政治的合意に達した。ルクセンブルグ、オランダ、イギリスはこの合意に加わらなかった。次の会期で公式に「共通の立場」が採択されれば、欧州議会の第二読会に送られる。

 

 この規則は、今年10月に発効したGMOの意図的環境放出に関する指令200118/ECが規定したトレーサビリティに関する一般的ルールのいくつかの側面を修正するものである。それは、GMOからなる製品またはGMOを含む製品、GMOから派生する食品・家畜飼料のトレーサビリティのフレームワークの確立を目指し、的確な表示、環境・人間の健康への影響の監視を容易にしようとするものである。この規則は、必要な場合には市場からの製品回収を含む適切なリスク管理手段の実施を容易にすることも狙っている。

 

 この規則によるトレーサビリティ・システムは次のような要素から構成される。

 ・「唯一無二の識別名」(数字コード、または文字と数字を組み合わせたコード)を通してGMOを識別

  するためのシステムの欧州委員会による確立。

 

 ・製品の利用を可能にされた事業者とこれを可能にした事業者を確認するための諸システムと諸手続。

 

 ・特定製品の識別に関する情報の事業者による伝達。

 

 ・事業者による5年間の情報保存。

 

 ・監視及びコントロールへの協調アプローチ。

 

 この規則には、1128日の農相理事会で合意された表示に関する規則が定めるGMO含有率基準が適用される。すなわち、承認されていないがリスクがないと評価されたGMOが偶然に含まれる食品中のGMO最大許容量を05%とし、GMO含有が09%未満のものは表示規則の適用を免除されるという基準である。

 

 この規則は、GMOのトレーサビリティと表示に関し、生産チェーン全体と、様々な事業者間で生じる商業取引全体をカバーする。トレーサビリティに関して、例えば、GM種子開発企業は当該種子のすべての購入者に、それがGM製品であることを知らせ、また購入した事業者の記録を保存しなければならない。農業者も、収穫物すべての購入者にそれがGM作物であることを知らせ、これを利用するすべての事業者

の名簿を保存しなければならない。

 

 このような規則案への合意を形成するに際しての最大の難関は、主として家畜飼料用のバラ積みの船荷の表示の問題であった。イギリス、オランダ、フィンランド、スウェーデンに支持された欧州委員会は、船荷があれやこれやのGMOを「含み得る」という申告で済ませようとした。しかし、GMOモラトリアム解除のためには厳格な規制が実行されねばならないとしてきたフランスを始め、スペイン、ドイツなどは、実際に含まれるGMOの正確なリストを要求した。欧州委員会は、EUが輸入品に課す要求は過大であるとする米国のWTO提訴を恐れ(新たな米国・EU貿易戦争の気配)、譲歩を拒んだが、現在のEU議長国であるデンマークが妥協案を提示、これによって政治的合意に漕ぎつけた。妥協案はフランス等の主張に近いものである。

 

 加工用としての、及び直接食品または飼料に使われる製品としての、またはそのような製品中のGMO混合物のトレーサビリティに関して、事業者は、混合物を構成するために使われたすべてのGMOについて「唯一無二の識別名」のリストを添えた使用の申告をすることになる。ただし、規則の発効の日から2年以内に、欧州委員会は、欧州議会及び理事会に対して、その実施に関するレポートを提出し、適切な場合には提案を行なうという特別見直し条項が加えられた。また、妥協案には、規則の諸条項は、非食料・飼料用の加工を目的とする製品中の承認済みGMO09%未満の混入は、それが偶然であるか、技術的に不可避の場合には適用されないというトレーサビリティと表示に関する例外条項も含まれている。

 

 イギリスとオランダは、こうした規則はバラ積み貨物船の借り主に多大なコストを強いると反対投票にまわったが、グリーン・ピースはトレーサビリティは救われたと満足を表明している。

 

 この合意により、4年間にわたるEUのGMO新規承認モラトリアム解除の障害は、ほぼ取り除かれたことになる。しかし、山岳地域等、条件不利地域が多く、国の農業の活路を有機農業に見出しているオーストリアはGMO導入に絶対的反対の立場を貫いている。その他の国でも、消費者・環境保護団体の抵抗が続いている。首相が熱烈なGMテクノロジー信奉者であり、2004年のGM作物商用栽培をめざすイギリスでさえ、その実現への道には多くの茨が立ちはだかっている。モラトリアム解除が大々的なGM作物栽培に結びつくかどうかといえば、見通しはなお不透明である。

 

 さらに詳しくはWAPICホームページをごらんください。

 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/

 

 

 

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