GMイネ生産者ネット#231

 

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その1

02/11/27 消費者リポートより

 

EU視察報告 イタリア・ボローニャ/ベルギー・ブリュッセル

食品の安全を確保する試み

 

トレーサビリティと遺伝子組み換え食品の厳しい表示ルールづくり

 9月8〜16日にかけて、「GM表示研究会」(市民バイオテクノロジー情報室、ストップGMイネ生協ネットワーク、市民セクター政策機構、日本消費者連盟)のメンバー8人でベルギーのブリュッセルとイタリアのボローニャを訪れ、EUにおける食品安全のための試みを視察しました。

 

 ボローニャでは、コープイタリアや有機農業の会社(アポフルーツ)でバーコードを用いたトレーサビリティの仕組みを視察しました。このエミリア・ロマーニャ州は遺伝子組み換え食品に反対の立場をとり、有機農業を推進しています。

 

 ブリュッセルでは欧州議会議員の秘書に会い、消費者の声も聞きながら遺伝子組み換え食品の表示の厳しいルールが作られようとしているEUの現状を聞きました。

 

 EUでは、遺伝子組み換え食品に対する消費者の拒絶の意志が小売り業者や政府をも動かし、遺伝子組み換え食品のモラトリアムが続いてきましたが、現在、厳格な表示制度のルールを作ろうとしています。例えば、組み換え体が最終製品から分析されなくとも原料として用いられている場合には表示すること、食品に1%以上(あるいは0.5%以上)混入している場合には表示すること、遺伝子組み換え飼料も表示することなどです。

 

9月、リスク評価機関 欧州食品安全機関始動

 ヨーロッパ諸国は第二次大戦後統合を目指し、いま15か国でEUという超国家をつくり、加盟各国の主権の一部を委譲しました。農業政策と並んで食品の安全性のルールも作るのです。

 

 食品の安全性に関しては、欧州食品安全機関という独立した評価機関がこの9月から始動しました。15人の執行理事会には消費者代表や農家代表もおり、今後BSEや遺伝子組み換え食品問題における安全性の審査を行ないます。

 

 遺伝子組み換え食品の表示ルールの策定などリスク管理は、EUの行政・立法機関である欧州委員会・閣僚議会・欧州理事会が行ないます。表示方法に関しては、今年始めに混入率について欧州委員会が1%案を提出、7月には欧州議会が0.5%案を提出しました。10月、閣僚理事会の賛同は得られず、あらためて欧州委員会が修正提案を提出、再度欧州議会が論議を重ねます。

 

 欧州議会の議員は市民の投票で選ばれますが、普段から市民団体は欧州委員会や欧州議員への働きかけを盛んに行なっています。今回の数値をめぐっても、私たちが面会した欧州消費者団体連合会や英小売商協会、欧州農業団体連合会なども欧州委員会提案には賛成しました。環境保護団体の地球の友やグリーンピースは環境保護の視点も重視し、0.5%案や遺伝子組み換え種子の排除なども働きかけています。

 

EUルール策定に活発に働きかける市民団体

 これからEUルールが制定されれば、加盟各国は国内でもそのルールに従うことになります。市民団体は、EUのルールづくりを運動の重点目的のひとつにしており、EUとしても、自らの政策を尊重してもらうには各国政府や欧州の市民の意見を充分に反映する必要があるのです。ここに関係団体の双方向のコミュニケーションが成立する理由があります。

 

 ひるがえって日本ではどうでしょうか。「食品安全委員会(仮称)」が設置されようとしていますが、遺伝子組み換え食品に不安をいだく消費者は参加できないでしょう。リスク管理を行なうのは既存の農水省や厚労省です。ここでの安全基準の設定や規制方法、表示ルールなどについて、消費者の声が真に反映されなければなりません。(山浦康明)

 

 

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その2

2002年11月22日

北海道新聞

 

広がる試験栽培 北見でも

農家の危機感背景に 「有機無農薬では経営難」

 

「みんな『安全性が疑問』というが、やってもいないのに危険視するのはどうかと思う。だからやってみたんだ」。

 

 今年五月、除草剤に強い遺伝子組み換え大豆を道内で初めて試験栽培した北見市の農業角田誠二さんは、批判覚悟で栽培に踏み切った心境をこう語る。結果は「大豆は除草剤の影響が無く、雑草だけがすべて枯れた」(角田さん)。

 

 こうした組み換え作物の試験栽培は最近、全国各地で行われ、昨年は九ヵ所、今年は角田さんを含め六ヵ所で実施された。

 

 この背景にあるのは農家の高齢化と、食糧の大半を輸入に頼る危機感だ。関係者の間には「組み換え作物を導入するなど、農作業の省力化を考えないと、日本の農家は生き残れない」という不安がある。

 

 食の安全性がクローズアップされ、有機無農薬作物が消費者の人気を集める中、角田さんは「私も二十年以上、有機無農薬栽培に取り組んできたが、除草作業がきつく、安定的な収量を確保できないなど、採算ペースに乗せるのは大変。おいしいものができるのは確かだが、有機無農薬栽培だけでは農業経営は成り立たない」と語る。

 

 これに対し、九月に札幌で開かれた道消費者大会では、遺伝子組み換え作物が試験栽培されていることについて「長期的に食べたときの慢性毒性や生態系への影響など、危険か安全かがはっきりしていないのに、栽培がなし崩し的に進められるのは問題だ」という批判が相次いだ。

 

 遺伝子組み換え作物に反対する人たちの安全性に対する不信感は根強い。「市民バイオテクノロジー情報室」(東京)は「最近の研究で、組み換えられた遺伝子が腸内細菌に入りんだことが明らかになっている。組み換え作物には抗生物質への耐性があるものも多く、こうした遺伝子が細菌に次々と組み込まれると、病気の際に抵抗力がなくなるなどの危険性もある」と指摘する。

 

 海外では「害虫抵抗性のある組み換えトウモロコシの花粉を食べたチョウの幼虫が死んだ」「遺伝子組み換えジャガイモをラットに食べさせて免疫力が低下した」などの報告もあった。しかし、これらはいずれも「実験手法に不備がある」などと大方の専門家から否定されている。北大大学院農学研究科の浅野行蔵助教授は、現在出回っている物に関しては「ほ乳類が食べても無害と確認されている。毒性が体内に蓄積することはない」と話している。

 

 

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