Nature 2,001年12月20日号、414巻、No.6866
ヒト第20番染色体のDNA配列と比較分析
The
Wellcome Trust Sanger Institue
訳 河田昌東
分析の完了したヒト第20番染色体は59,187,298塩基対からなり、真性染色質DNA(訳注:細胞分裂間期に遺伝子の発現が行われている部分)の99.4%を占める。染色体のショート・アームは26メガ塩基の1個のコンテイグ(訳注:両端の重なり合うDNA断片からなる一つの単位)で出来ており、ロング・アームは合計320キロ塩基のギャップで隔てられた5個のコンテイグから出来ている。さらに、ロング・アームのセントロメア周辺領域には234,339塩基対の余分な配列があった。我々はこの全DNA配列に727個の遺伝子と168個の擬似遺伝子を見つけた。これらの遺伝子の64%には5’側及び3’側非翻訳領域(訳注:翻訳制御にかかわる配列)と、完全なオープン・リーデイング・フレーム(ORF:訳注 蛋白質のアミノ酸配列情報の部分)があった。 第20番染色体を他の2種類の脊椎動物(Mus musculus:ハツカネズミとTetraodon nigroviridis:フグ)の全ゲノム・ショットガン配列データと比較分析すると、遺伝子の効率的同定が可能であり、この分析結果はすべてのエクソン(訳注:アミノ酸配列をコードしている塩基配列)の95%以上、即ちほとんどすべての遺伝子を説明できることがわかった。