1800億ドルの農業補助金支出が米上院を通過
02年5月4日
NPRニュース
訳 山田勝巳
農産物の国際価格の下落によって行き詰まっているアメリカの家族農業を救済するという名目で新たに今後10年で1800億ドル(約23兆円)の補助金を出すことを昨日の上院で可決した。
トウモロコシ、小麦、綿、大豆、米などの主要穀物農家の救済を目的とするもので、GM企業にとって今後10年の収入が保証されたことを意味する。 これは、競争原理による自由市場経済を推進するというWTO精神に違反するものでこれに逆行する。しかし、この補助金によって更にこれら作物の作付けが増えることは必須で、更なる生産過剰と価格下落は避けられない。 家族農業救済も単なる名目で、実際に補助金を受け取れるのは20%程度の大規模農家にすぎず、80%近い中小規模農家は、ほとんど恩恵に浴さず、更に格差が広がり小さな家族農家は価格下落で経営の危機はいや増すことは間違いない。
これは明らかに、バイテク産業で国際市場を独占しようとするアメリカの方針を推進するための一政策に過ぎず、これによってバイテク産業育成を下支えする意図は隠せない。
この法案が下院を通過するのは時間の問題で、ブッシュ大統領も署名することを明言している。