GMイネ生産者ネット#153

農業情報研究所(WAPIC)ホームページより

■オーストラリア:GMカノーラの商用栽培、初の許可、有機農業者が反発

2002.6.24

 

6月21日、オーストラリア遺伝子テクノロジー規制機関(OGTR)が、モンサント社により申請されていた遺伝子組み換え(GM)カノーラ(菜種)の商業ベースでの栽培を許可したと発表(メディア・リリース:First application for commercial release of GM canola in Australia marks first anniversary of the Office of the Gene Technology Regulator - 21 June 2002)。これは、2001年6月21日の2000年遺伝子テクノロジー法の発効及びOGTRの設置の一周年記念日に合わせたものである。

 

 規制委員のSue Meek博士によれば、遺伝操作諮問委員会により監督されていた以前の自主的取り決めが新たなシステムに置き換えられ、GMO規制に関する透明性とアカウンタビリティ(説明責任)の新たな時代が始まった。「遺伝子テクノロジー法とOGTRは、GMOにかかわる市民・農民・研究者・企業に安定性・一貫性・人々と環境にとっての安全性を提供する」。博士は、OGTRが、申請の評価とすべての実験圃場の場所のリストについて詳細を知らせるWebsiteの作成、規制システムの実施を監視する最初の遺伝子テクノロジーに関する閣議の開催、GM・非GM指定区域を認めるための閣議による作業の開始、申請者に援助を与えるためのリスク評価とリスク管理の枠組みの開

発、許可保持者とその他の関係者に指針を提供するための監視と遵守の枠組みの開発など、新法が要請するすべての基本的義務が果たされたと言う。

 

 しかし、非GM区域指定に関しては、ニュー・サウス・ウエールズ州が反旗を翻している(オーストラリア:有機農民、全土がGMと思われて破滅と叫ぶ)。今回の承認に対して、「オーストラリア有機農業者(BFA)」は、我々の農業システムの利益が評価されなかったと、各州に許可の経済的結果を考慮するように要求した。彼らは、今回の許可が有機農業の終焉に向けての第一歩と見ている。

 それにもかかわらず、OGTRはGM作物許可に向けての作業を着々と進めている。先のメディア・リリースによれば、OGTRは、既にGM棉4種の制限され・監督された環境放出を許可しており、6月末までには閉鎖された施設での70の実験許可申請の3分の1が承認されるという。現在審査中の許可申請には次のようなものが含まれる。

 

・棉:五つの圃場実験許可申請と一つの商業的放出許可申請

・カノーラ:二つの圃場実験許可申請と一つの商業的放出許可申請

・油料種子ポピー:二つの圃場実験許可申請

・シュガー・ケーン:一つの圃場実験許可申請

 なお、OGTRのWebsiteでは、個々の申請に対するリスク評価の詳細(これに対する公衆のコメントを求める案内もある)も含めた広範な情報が公開されている。2000年遺伝子テクノロジー法とOGTRについては、渡部靖夫「豪州の最新GMO事情」『農業と経済』2001年7月号を参照されたい。

 

 

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