遺伝子組換え食品を考える中部の会では、GMOフリーゾーン全国交流集会に参加のため来日中の、Juwei Chen氏(台湾で学校給食を非GMにするための活動を主宰)に同行し、名古屋港周辺のGMナタネ自生の様子を視察していただきました。

今冬はきびしい寒さのため、ナタネの生育もおくれ気味でしたが、知多市の北浜埠頭と東海市神宝町の県道55号沿道では、セイヨウナタネをはじめ、カラシナ、イヌカキネガラシなどを確認しました。

北浜埠頭から伊勢湾岸道東海ICにいたる西知多産業道路沿いでは、そろそろカラシナの背丈が伸び始めていました。この道路は自動車専用であり、車を停車することができないため、詳しい調査ができていません。

中部の会では、北浜埠頭のF飼料会社から県道55号を経て国道23号を西方、四日市に向けてセイヨウナタネの自生を確認しています。また、北浜埠頭のほかに、名古屋市港区船見町にもF飼料会社があり、その間を同様の経路でナタネの輸送が行なわれいる可能性があります。今後、同社との接触をし、状況を明確にする必要があります。
以前より、この経路ではセイヨウナタネとともに、イヌカキネガラシ、ハタザオガラシなどが見受けられ、過去に交雑を思わせる個体も確認されています。

そのため、同じような状況が西知多産業道路沿いでも起こっているものと推測されます。

今回も東海市神宝町三洋化成工業付近で、雑種を思わせるナタネを確認しました(検体Nо.7GM陰性)。このポイント付近では、2017/4/15の調査でも雑種と思われる個体を確認しています。

東海市北浜埠頭飼料会社付近

検体No。5 イヌカキネガラシ(東海市神宝町三洋化成付近)

東海市神宝町三洋化成付近

検体No.7 東海市神宝町三洋化成付近

検体No.7(GM陰性)
陳(Chen)氏によれば、台湾ではまだGMナタネの自生は確認されていません。台湾は韓国と同様に、GM作物(食品)は食品として認可はされていますが栽培は禁止されています。

一昨年までは、韓国ではGMナタネの自生は確認されていませんでしたが、昨年から今年にかけて、ナタネ祭りで景観用に撒いた種子(中国から輸入)にGM種が混ざっていたため、行政により鋤き込み処分されています。

名古屋市潮見埠頭

左から検体Nо.1〜8

検査中

北浜埠頭で採種したNo.1にGM陽性反応
記念撮影(前右:劉さん/通訳)
雑種と見られる個体について
イヌカキネガラシ、ハタザオガラシなどのアブラナ科雑草とセイヨウナタネ(brasica naps)の交雑については確証があるわけではありませんが、次の点から、種関の交雑が起こっているのではないかというのが中部の会での見解です。
雑種と思われる個体の形体が、セイヨウナタネとも他の雑草ともちがう
雑種と思われる個体のGM陽性率が高い
雑種と思われる個体の付近にセイヨウナタネ、イヌカキネガラシ、ハタザオガラシが混生することが多い
雑種と思われる個体に花粉が見受けられない場合が多い。(遺伝子組換えナタネ交雑種調査研修会と花粉の顕微鏡観察のGMナタネ雑種調査と花粉の顕微鏡観察結果について(4)を参照)

陳(Chen)氏の著書と「台湾非GM推進連盟」の幕

今回、GMOフリーゾーン交流会を機に、台湾からの陳氏との交流が持てたことは、大きな喜びであり、励みにもなりました。わたくしども、遺伝子組換え食品を考える中部の会を訪れていただき、どうもありがとうございました。今後のご健闘を祈ります。
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