遺伝子組換え食品を考える中部の会では、2006年11月以来20回目となる、遺伝子組換えナタネ抜取隊を2017年4月2日、三重県の国道23号鈴鹿市『北玉垣町』〜津市『江戸橋北詰』までの約16kmの区間でおこないました。

今回の抜取隊には、61名の参加をいただくことができました。また、安全に作業を終えることができましたことを深く感謝します。ありがとうございました。

6200本という過去最多の抜取り本数を数えた、昨春の第19回抜取隊でしたが、秋には激減したため、昨秋の抜取隊は中止としました。

昨春から一年ぶりとなった今回の抜取隊では、905本のナタネが抜き取られました(アブラナ科の雑草86個体を含む)。今回も、抜取隊とは別に関連会社による駆除が行われているため、それ以外の区域を作業の対象としています。

なお、国道23号の四日市市『西末広町』から松阪市『小舟江町北』の40km区間のうち、とくに歩道が設置されていない四日市市『六呂見町』から鈴鹿市『肥田町』付近については、作業に危険がともなうため、抜取隊の作業区域から除外しています。

依然として、イヌカキネガラシ、カラシナなど、セイヨウナタネとの交雑の可能性のあるアブラナ科個体が多く確認されています。
今回の抜取隊では、上記の905本中、819本がセイヨウナタネ。そのうち、78検体を選抜し、試験紙による簡易検査を行った結果、23本(18%)が除草剤ラウンドアップ耐性(RR)、55本(43%)がバスタ耐性(LL)と判明しました。今回、両耐性の個体はなく、いずれかGMである確立は60.9%でした。

昨年春の抜取隊(2016/4/3実施)では、雑種とみられるアブラナ科の植物は12個体確認されました(うちGMの確立は80%)。

しかしながら、今春4/2の抜取隊では、今冬の寒さが影響してか、雑種の形体を示す個体の確認はほとんどできませんでした。

いままでの中部の会の調査では、雑種と思われるナタネが多く確認されるのは5月以降、梅雨明けまで。そのため、雑種ナタネについては、あらためて追跡調査を行う予定です。

各班持ち場に移動前の打合せ(新生公園)

    国道23号鈴鹿市白子町地内

G班(『千里駅』の南付近)。分離帯での作業には危険を伴うため、必ず安全監視係の指示にしたがう

白子コミュニティセンターで検査前の仕分け

   試験紙による簡易検査

青の試験紙:ラウンドアップ(RR)耐性判定用
紫はバスタ耐性(LL)判定用(C班)

各班の検査・記録終了後、暫定の集計をする間に
河田昌東さんによるミニ講義

この日の河田さんの講義は遺伝子汚染について

暫定の集計

イヌカキネガラシ?(H班)
イヌカキネガラシ

アブラナ科の雑草(J班)

ハタザオガラシ
今回の抜取隊で多く確認されたアブラナ科の雑草は、イヌカキネガラシ、カラシナなどがとくに多かった。一方、毎回確認されるハタザオガラシはほとんど見受けられませんでした。これについても、今冬の寒さが影響しているのかもしれません。

中部の会では、雑種ナタネの追跡調査を行い、その結果をHPでお知らせします。



今回もGMナタネ抜取隊に対し、みなさまのご協力に深く感謝します。

どうもありがとうございました。


名古屋クアラルンプール補足議定書、いよいよ発効か?
遺伝子組換え生物の移動によって起こるGM汚染が何らかの被害を起こした場合、それを担保するための国際法として名古屋クアラルンプール補足議定書があります。これは2010年に名古屋で開催されたCop10、Mop5で採択されました。『責任と修復』がそれにあたり、2017年2月1日現在、この補足議定書の締約国は36カ国とEUと、40カ国にあと一歩に迫っています。40カ国が批准締結した日から90日後にこの補足議定書が発効することになっています。

名古屋会議での議長国たる日本は、署名はしたものの、まだ締結していません。今年度中に締結することはほぼ確実ですが、カルタヘナ議定書の国内法をそれに適応する内容に書き換えなければなりません。すでに今年2月、閣議決定、国会へ提出されているため国内法の明文化は急務です。

今、三重県や名古屋、そのほか日本全国で起こっているGMナタネによる汚染の問題に対し、具体的な予防原則を示す必要がありますが、どの程度のものが示されるかが懸念されるところです。補足議定書の発効は、とにかく大きな第一歩ということで期待するところです。