2013/6/2
その2
左の地図に赤線で示した部分が、今回の抜取隊の作業区域です。

抜取られたナタネは295株と減少傾向にあり、関連企業と中部の会による抜取り駆除作業の成果が見られます。

今回は『隠れGM』個体を確認するため、疑わしい15個体を農民連食品分析センターに依頼しました。

この点について、農民連食品分析センター八田純人氏から、次のようなコメントをいただきました。

「擬陽性個体」にも問題がある。キット(試験紙)自体の反応性のムラや使用期限などの課題もあるが、今回のクロスチェック(分析センターでも、PCR検査に併せて試験紙による簡易検査もおこなったところ、ごく薄い擬陽性を確認)の中で感じることは、(該当の個体が)組換え遺伝子はもつものの、その発現が、不均質であったり、不安定な個体があるのではないか。キットが判定できる定量下限は1%程度なので、その判定のぎりぎりレベルの微妙な発現しかしていない個体があるのではないか。こうなると、簡易検査の際、チューブ(試験管)に入れる葉の量でも結果に差が出るように思われる。さらに時間をかけて調べる必要がある。

以上、八田氏のコメントからもわかるように『隠れGM』の問題は条件により判定に誤差が生じるため、クロスチェックをするなど、慎重な判断が必要と思われます。

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F班、雑種と思われるF6↑↓
『隠れGM』個体は除草剤で枯れるのか
上の表、備考欄はPCR検査をおこなった検体です。その内、緑色の文字で示した個体が、農民連食品分析センターのPCR検査で、ラウンドアップ、バスタ、いずれかの除草剤に耐性の『隠れGM』個体の疑いがあることが判りました。その中からとくに、根付きの個体について、下の写真のような実験を行いました。

この実験で、いずれの個体も、該当の除草剤を施用しても枯れないことが判明しました。

各検体、左が6/22(該当の除草剤施用前)と右、6/29(除草剤施用後)の比較写真(クリックで拡大)
検体No.B1:ラウンドアップ施用
セイヨウナタネ
検体No.B21:ラウンドアップ施用
セイヨウナタネ
検体No.F6:バスタ施用
雑種ナタネ?


補 足
オーストラリア産ナタネの高騰の影響
2007年以降、セイヨウナタネの輸入単価が高騰し続けています。これは欧州でバイオディーゼルとして利用される傾向が高まっているためで、2002年にカナダ産がトン当たり 34,800円、豪州産 33,099円であったのが、2012年にはカナダ産 55,668円、豪州産 58,117円と逆転しています。

輸入量では、2002年、豪州産は全体の 21.1%でしたが、2012年には 3.1%に激減しています。今後、このような高騰が続けば、豪州でもGMナタネの栽培があたりまえになるかもしれません。そして、日本に輸入されるセイヨウナタネのすべてがGM品種ということにもなりかねません。

GMナタネの自生問題は、今後、決してよい方向に進むとは考えられません。市民レベルによる根本的な解決は非常に難しいのが現状ですが、GMナタネによる遺伝子汚染の拡大を止めるための活動が望まれます。

動画でごらんください