2010年生物多様性条約/カルタヘナ議定書締約国会議1年前記念集会
 第2部
09/10/24
遺伝子組み換えナタネ
自生調査全国報告集会
in 名古屋



2010年生物多様性条約/カルタヘナ議定書締約国会議1年前集会の後半には今回で4回目となる『GMナタネ自生調査全国報告集会』が行われました。

GMナタネの全国規模での調査は早くも今年で5回目となりました。今年も全国31都道府県で自生調査が行われ、日本での大雑把な汚染地図が把握されるようになってきました。状況としては千葉、神奈川、静岡、愛知、三重、兵庫、福岡、鹿児島と、GMナタネが確認される県は、鹿児島県(志布志市:飼料工場がある)以外はナタネを輸入している港周辺に集中しています。
しかしながら昨年より、今までになく、新たに汚染区域が確認されるようになっています。たとえば、輸入の過程で潮ぬれや変質などによる損害を受けた、商品価値のなくなった事故貨物などとして搬送される途中でこぼれ落ち汚染を起すというような例です。

これはまだ確認されているわけではありませんが、発芽能力のある輸入ナタネが陸送されている例はまだ他にもあると推測されます。ナタネ輸入業者の備蓄用サイロの掃除の際に発生するサイロダストの行方や、家畜や小鳥などのペットのエサを扱う飼料工場などへの経路など、私たちの知らないところでGMナタネによる汚染が広がっているのかもしれません。

交雑による拡散
昨年はじめて、他のアブラナ科植物と交雑したと見られるGMナタネ(在来ナタネとの交雑と思われる)が愛知県豊川市で確認されました。環境省の調査でも、三重県津市でやはり在来ナタネとの交雑を思われるGMナタネが確認されています。そして今年になって、愛知県豊川市で、今度はカラシナ系の作物?との交雑と見られるGMナタネが新たに確認されています。

これらの交雑ナタネの種類を特定することは難しく、現在日本国内でそれをおこなえる検査機関はありません。そのためあくまでも『と思われる』という表現になっており、その形状から判断しての推測です。
カラシナ?との交雑と思われる。葉にギザがあり、明らかにセイヨウナタネとはちがう
DNA鑑定でしか確認のむつかしいGMナタネ
最近になって明らかになったことですが、試験紙による簡易検査では陰性を示しても、PCRによるDNA鑑定では陽性と判明するという例が少なからずあるという報告が農民連食品分析センターからありました(詳しくはこちらをご覧ください:http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/Data/gmocanola2008/index.htmlhttp://earlybirds.ddo.jp/natane/article.php?id=85/また河田昌東氏の『2009GMナタネ自生全国調査まとめ』のGM遺伝子の不安定性と種の壁の解説を参照)

最小限の問題として、民間にとっては試験紙による簡易検査だけが調査の目安です。今後、それさえも当てにならないことになってしまいます。また実際にGM汚染が起こっていても、DNA判定をしなければわからないという状況は大きな危険をはらんでいるといわざるを得ません。またこれによる自然界や人の健康に及ぼす影響について解明はされていませんが、私たちにとって見えざるところで進行するGM汚染にあらたな懸念材料となるでしょう。

GMナタネの自生は新たな問題をはらんだ段階へと進みつつあることだけは確かです。


2009年GMナタネ自生全国調査まとめ : 河田昌東

図中の愛知県と三重県についての詳細はこちらをご覧ください
名古屋港(愛知)
四日市港(三重県)