第4回
GMナタネ抜取隊
08/11/02


遺伝子組み換え食品を考える中部の会では2008年11月2日、一般の参加者をお願いしての今回で4回目となる『GMナタネ抜取隊』を三重県鈴鹿市内の国道23号線沿線で行いました。今年は7月に引き続き2回目。今回は37名の参加で行いました。

中央分離帯での抜取隊

国道23号線白子町付近

先回までの抜取隊では懸案として、国道23号線の中央分離帯に自生するナタネの駆除がありました。しかしながら自動車の往来がはげしいため、危険をともなう分離帯での抜取り作業は自粛してきました。

この件につき国土交通省三重河川国道事務所と四日市警察署に相談しお願いしたところ、しかるべき安全管理をしたうえでなら、中央分離帯での作業は可能という見解をいただきました。ただし分離帯を歩いて抜き取るのは、幅が1〜1.5m以上ある場所に限る。また、分離帯への往復は車の通行が切れたのを確認したうえで。

十分な安全管理として、分離帯での作業は抜取り作業経験者でセイヨウナタネの判別のできる者があたり、安全確認はグループ内のほかの1名が行い、分離帯での作業者に指示を送るという慎重な方法で行いました。なお特に分離帯での作業者は、反射板のついた視認性の高い安全ベストを着用し、作業にあたりました。

分離帯での抜取り作業


Hグループで採取されたラウンドアップとバスタ(LL)両耐性の交雑ナタネ

思わぬところに堂々と生えていたりする

持ち寄ったナタネを検査キットで検査

第4回抜取隊の成果
今回の抜取隊では151個所でセイヨウナタネが確認、撤去されました。そのうち中央分離帯の68個所でセイヨウナタネの撤去が行われました。すでに国交省による分離帯の除草作業が済んでいる部分もありましたが、予想通り、多くのセイヨウナタネを駆除することができました。

前回7月の抜取隊では138個所でセイヨウナタネを確認、撤去していますから、今回では分離帯を除く道路脇では、83個所で確認したことになります。この結果から、道路脇でのセイヨウナタネの自生は明らかに減少傾向にあることがわかります。

ラウンドアップにもバスタにも耐性の交雑ナタネ確認
今回の調査で、Hグループで採取されたナタネのうち1株がRR、LL両方の形質をもったGMナタネであることが判明しました。中部の会の調査ではあえてRR、LLいずれも陽性のナタネを探すことはしていませんが(検査キット節約のため)、今回の抜取隊で偶然、2種類のGMナタネの交雑種を確認することとなりました。日本でRR、LL両方の形質のGMナタネが確認された例はまだ数例にすぎません(このナタネがどこで交雑したものなのかは特定できません(カナダか日本か))。

中央分離帯での撤去作業を少人数でおこなうことは困難です。作業と安全確認は単独では無理で、必ず第三者の立会いが必要です。今回のような多人数での『GMナタネ抜取隊』のような機会なくしては困難な作業といえます。当日の抜取隊では、1グループ4〜5名とし、分離帯での作業者は熟練者1名、安全を確認する者1名、道路脇のナタネ抜取りと記録係りをそれぞれ1名としました。なおその他に要員を搬送するドライバーも兼ねる者を1名という構成でした。

このように4〜5名のグループ構成で行える中央分離帯を含めての抜取り作業は2〜3kmの区間に限られます。春のナタネの時期にも実行したいと考えます。

中部の会のほかにも駆除作業が
これは国土交通省三重河川国道事務所への会見でわかったことですが、私たち中部の会のほかにもセイヨウナタネの駆除作業にあたっている企業があることを知りました。

四日市港での関係企業や関連の製油会社による駆除作業はすでに周知のことですが、実際にちがった組織によってもボランティアとして行われていることに対し、私たちもおおいに励まされます。

農林水産省の見解では、GMナタネについてはすでに安全性も確認されており、国内栽培についても地域の合意があれば可能ということになっています。GM作物が米国、カナダで栽培され、日本に輸入されるようになって12年ほどが経過しています。その約10年間、セイヨウナタネのトラックでの運搬にともない、こぼれ落ちによる自生が起きてきました。

雑草としてのナタネへのGM伝播
セイヨウナタネは雑草性をもつ植物ですが、セイヨウカラシナや在来ナタネのような爆発的繁殖には今のところなりえていません。しかしながらGM遺伝子が交雑によりそれらの雑草性の高いナタネに伝播した場合を考えると大きな脅威を感じます。

これはまだ確定されてはいませんが、中部の会の調査から、GMキャノーラと在来ナタネとの交雑の疑いのあるナタネも採取されています。このナタネは愛知県豊川市内の国道1号線沿線で採取されたもので、通常の輸送経路とは異なる、事故品としての移送途中でこぼれ落ちたものが自生したものと考えられます。このナタネについては現在米国アイオワ州立大学にその同定を依頼中です(関連記事はこちら)