第4回 遺伝子組み換えナタネ抜取隊 (つづき)

在来ナタネはかつては食用や搾油用として各地で栽培されていました。また一部の地方では野生化し、春期にはみごとな群生を見せます。在来ナタネはセイヨウカラシナと比べると花弁が大きく花にボリュームがあるため、その群生ぶりは見事です。最近観光地などの道路脇の休耕田に景観用に栽培されることがよくあります。

農業への影響という意味でもセイヨウナタネを考慮しなければならないことは当然ですが、こうしたいわば雑草としてのナタネへのGM遺伝子の移行・伝播はさらに大きな危惧として認識する必要があるのではないでしょうか。農業活動とは一見関連のないところで、しかも広範囲でGM汚染が及んでしまうという危険性があるわけです。 セイヨウナタネ( Brassica naps種 )がセイヨウカラシナ( Brassica juncea種 )、在来ナタネ( Brassica rapa種)などとは交雑しにくく、その確率は数パーセント以下とされているようです。また交雑しても、二代目雑種では発芽率が低くなる。

しかしながら、いったん交雑が起こり、同種間で交配がすすんだ場合には(品種改良では一般的な戻し交配という方法)、種として固定され、GM遺伝子を持ったたとえば在来ナタネとして雑草化してしまうことになります。その現象が起こる可能性は十分にあり、大きな脅威といえます。

以上のように、セイヨウナタネのトラック輸送によるこぼれ落ち自生が、食品用製油会社へのトラック輸送以外にも起こっているという例が中部の会の調査からも明らかになっています。わたしたちの考えの及ばないところでもナタネをはじめとしたコーン、大豆などのGM作物が自生し、拡散の機会をうかがっているのかもしれません。交雑の危険性とともに、さらに広い視点での監視活動が必要です。

第3回に引き続き、今回のGMナタネ抜取隊へのみなさまのご協力に深く感謝します。

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今回の『抜取隊』はA〜Hの8グループで、三重県鈴鹿市内の国道23号線『北玉垣町北』交差点より、津市『上野南』交差点までの約8kmの区間の抜取りを行いました。

151個所でセイヨウナタネを確認・駆除しました。そのうち、ラウンドアップ耐性GMナタネ(RR)を58個所(全体の38%)で、バスタ耐性GMナタネ(LL:リバティリンク)を53個所(全体の35%)で確認しました。採取された全個所の73%でGMナタネが自生していたことになります。

そのうち、Hグループ(H−13:『田中橋南詰』交差点の南50mの道路脇)で抜取られた1本のナタネに、RR/LLの両方に陽性反応が確認されました。中部の会ではラウンドアップとバスタ両方に耐性のGMナタネを探すことはしていません(検査キット節約のため)。今回の抜取隊では、偶然にもこの交雑種を確認する結果となりました。

また151個所のうち、中央分離帯でのものが55個所。すでに国土交通省による除草作業が済んでいる区間もあったため、それを考慮すれば、かなりのナタネが分離帯から撤去されたことになります。これは大きな成果です。


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