GMナタネ自生調査全国報告集会 in 名古屋
GMナタネ抜取り隊活動報告(08年7月13日)

7月12日の全国報告会翌日、全国からの参加希望者を募り、三重県四日市港周辺のGMナタネ抜き取り調査が行われた。参加者内訳は、グリーンコープ(20名)、生活クラブ生協(13名)、きらり(3名)、遺伝子組換え食品いらないキャンペーン(6名)、くらしを耕す会(2名:中部の会)、名古屋生活クラブ(1名:中部の会)、食と環境の未来ネット(4名:中部の会)、遺伝子組換え情報室(1名:中部の会)の合計50名と取材の朝日新聞記者(1名)であった。観光バスをチャーターし、名古屋港から国道23号線を経て四日市港に入り、港内をバスの中から見学後、A〜Eの5班に分かれて、GMナタネの自生が多い四日市港から南の国道23号線沿いを徒歩で歩きながら抜き取り調査を行った。生憎の猛暑であったが参加者一同暑さに耐え、約1時間の道のりの自生西洋ナタネを抜き取った。その後、再び全員が集合し、レストランで昼食後、抜き取った西洋ナタネのGM検査を行った。各地での調査でこれまでGM陽性を検出したことがない参加者もいて、改めて四日市のGMナタネ汚染の実態に驚きの声もあがった。結果は、添付の調査票と調査マップに示すが、要約すれば以下の通りである。なお、今回は国道23号線四日市第二埠頭より西行きの汚染区間約40kmのうち、鈴鹿市『北玉垣町』交差点より津市河芸町『千里駅前』交差点までの約7.8kmの区間での実施とした。

(1)
A班(北玉垣町から南玉垣町南交差点まで):検体数41本、B班(白子町からザめしや白子店前まで):検体数25本、C班(白子町から寺家7丁目まで):検体数12本、D班(寺家7丁目から磯山2丁目まで):検体数22本、E班(磯山駅前から千里駅前まで):検体数38本であった。総数138本の西洋ナタネが抜き取られた。この暑い季節、ナタネにとっては最も過酷な条件だが、自生西洋ナタネのあるものは開花し、あるものは結実し、あるもものは発芽間もないものなど、様ざまな成長段階のものが見られ、自生西洋ナタネの国内での実態を良く表していた。なお、抜き取られたもの以外にも、中央分離帯(危険なため抜き取り禁止)にも多数の西洋ナタネの自生が観察された。
(2)費用の点から、全ての検体について個体別のGMチェックは行わず、各班の検体を近接した採取場所毎に5〜7組にまとめてGM試験紙でチェックした。全部で28組にまとめられた検体のうち、ラウンドアップ耐性(RR+)は16組(57%)、バスタ耐性(LL+)は17組(61%)、GM陰性(RR、LLとも−−)が4組(14%)だったが、陽性の組の中にはRR、LLともに陽性(++)のものも8組(28.6%)あり、全体として、陽性率の高さが目立った。特定の個体で両方の性質を備えたスタックGMがあったかどうかは、今回の調査では不明である。また、これまで遺伝子組換え食品を考える中部の会(中部の会)が行ってきた4年間の調査では、最近LL陽性の増加が目立っていたが、今回はほぼ同数の陽性率となった(詳細は調査票参照)。
(3)今回の調査でも明らかになったとおり、この地域における自生GMナタネは年中開花個体が見られ、秋から春にかけてこの地域の西洋カラシナなどナタネ科植物や農作物の開花時期には、GMナタネとの交配による遺伝子汚染が懸念される状況である。
(4)2004年に国内で自生GMナタネの存在が明らかになって以来、四日市地域のGMナタネ調査や抜き取りは、市民によりかなり精力的に行われてきた。その成果か発見当初に比べ、大株のGMナタネは見当たらなくなったが、個体数から見れば依然としてこの地域のGMナタネの勢力は衰えていないばかりか、陽性率も増加傾向にある。ひとつの原因として考えられるのは、国道23号線の中央分離帯は安全確保のため抜き取りが困難で事実上放置されたままであることがあげられる。輸送トラックの改善により新たな種子のばら撒きが減少しても、こうした自生GMナタネの世代交代による拡散が持続する限り根絶は困難である。この点の解決策を関係機関に対し、強く要望する。

今回のGMナタネ抜取隊に多くの方々の参加・協力を得ることができた。心より感謝したい。
(文責:中部の会 河田昌東)