ウエスタン・ルート・ワーム耐性トウモロコシの出荷間近、日米で来年発売か
トーマス・リー
2,001年7月23日、
セントルイス・ディスパッチ
要約 山田勝己
コーンの根を食害する甲虫の幼虫Diabrotrica virgifera LeConte(訳注western corn
rootworm:はウリハムシの一種の幼虫段階の名前。ウリハムシの成虫は瓜、カボチャなどに食害を与えるが、幼虫はコーンなどの根を食い荒らすため、コーン栽培の大敵である)は、適応力に優れ毎年何十億ドルもの甚大な被害を及ぼしている。モンサントはこの害虫退治用バイテクコーンを試験中で、順調に進めば来年にはアメリカと日本で発売する。
毎年10億ドルの被害を出しているこの甲虫は、昨年1、71億ドルを使い1400万エーカーに800万トンの殺虫剤を撒いているとモンサントの市場調査担当は指摘している。これまで研究者達からの評価は上々で、農家の関心も高まっている。
手間の掛かる防除作業に何百万ドルも費やさずに節約できるのだから大変なものだとモンサントの副社長ブレット・べージマンは話す。
この害虫(the Western Corn Rootworm) は殺虫剤に抵抗力を着ける早さでも農家を何十年も悩ませてきた。米国コーン生産者協会のトム・スレネカによるとこの害虫は、経済的に被害甚大で、この技術は生産者にとって極めて重要だと話す。
8月から9月に掛けて成虫がコーン畑にたまごを生み、卵が孵ると幼虫はコーンの根を食べ始め、コーンは水も養分の吸収できなくなる。その結果発育不全で収量が落ち、根が傷んでいるので強風が吹くと倒伏してしまう。これを大豆とローテーションすることで、対策してきたが、1992年頃からは大豆の後のコーンが成長する時期に卵が孵って食害するように、大豆畑に卵を生むようになってきた。1993年は特に被害が大きかった。当初はコーン畑の13%に農薬を散布すれば良かったが、1998年には75−85%の農地に散布せざるを得なくなっている。
モンサントが開発したのは、幼虫がコーンの根を食べると消化器管に穴を空け瞬時に殺す蛋白質を持つ。
イリノイ州立大学の昆虫学教室による第3者試験で有望な結果が出ている。1−6段階の被害程度で、調査したモンサントのコーンは、95%が3以下で「ものすごく良い」という。モンサントの製品が成功するには少なくとも殺虫剤と同等でなければ駄目だが、イールドガード・ルートワームは同等であるばかりか、その内完全にいれ代わってしまう可能性がある。ただ、どの殺虫剤でもそうだが、いずれこのコーンに対する抵抗力を害虫はつけるだろう。
モンサントによれば、ボルガード・コットンがそうだったように、イールドガードで殺虫剤の使用は劇的に減る。連邦法上EPA、FDA、USDAの認可がなければ販売できないが、既にその確信のもとに農家を定期的に試験圃場へ案内し説明を行っている。ダウケミカルとデュポンも合同で根虫抵抗性のものを開発しているが、製品は2003−2004年になる見込み。出遅れてはいるが需要が大きいので競争力は十分あるという。