スターリンク・アレルギースキャンダル:FDAの誤魔化しに科学的批判

 

遺伝子組み換え食品アラート(www.gefoodalert.org) 

FDAのスターリンクアレルギーもみ消しを批判

訳 山田勝己

 

FDA(合衆国食品医薬品局)のスターリンク 調査には欠陥がある。数百件のアレルギー報告が無視され、検査方法は疑わしく、乳幼児への危害が考慮されていない。 FDAとCDC(疾病監視センター)が行ったテストは、3つの欠陥があり、スターリンクのCry9C蛋白とアレルギーの関連を見落としかねない。

1)検査対象の群が小さすぎて、潜在的に影響を受ける人々を代表していない。

2)FDAは問題のある検査方法を使っている。

3)乳幼児や農民への特別な危険性が考慮されていない。 

 

これらの点は、最初に非政府のアレルギー専門家がEPA(環境保護庁)スターリンク問題科学諮問パネル(SAP)に提起(訳注:2000年12月1日の報告書)しており、EPAはスターリンクを食品として認める前にこれに対応すべきである。

 

アレルギー反応の検査対照群が小さすぎる。何百ものアレルギーの訴えが調査されていない。

FDAの検査は18−20人で「訴え出たわずかな人のみ」。 数百万人の人がスターリンクに曝されており、18−20人の陰性反応は、もっと多くの人の検査が必要であることを示す結果に過ぎない。 こうした理由でSAPはFDAに範囲を広げて医療やアレルギー団体に訴えのあったコーンに関わるアレルギー情報を集め、農業労働者のスターリンク被爆を検査すべきだと呼びかけていた。 FDAはこれを無視しただけでなく、食品産業から来た何百ものアレルギーの訴えを無視している。

 

食品会社がFDAに出したアレルギー苦情データでは、最初にスターリンク汚染(クラフト社のタコベルのタコスの皮)が発表された9月18日以来急激に増加している。食品産業は、これは報道の先走りだというが、スターリンク専門家パネルに参加したアレルギーの第一人者のヒュー・サンプソン博士は、普通のコーンに対するアレルギーは滅多にないので、殆どの人がスターリンク汚染が報道されるまでアレルギーの原因がコーンだと疑っていなかったと話している。

 

スターリンク汚染が公になってから2ヶ月間取ったデータでは、210人の消費者がアレルギーを訴え、食品会社はコーン製品のせいだとしている。 これは、それまでの2年間にあったコーン関係の苦情の5倍もの数だ。 このうち74名(35%)は、医師の手当を受けている。 20名(10%)は、緊急処置室で手当を受けた。

 

 

FDAは欠陥のある検査方法を用いている。 

FDAがELISA法を用いているのはおかしいとスターリンク問題パネルの3人のアレルギー専門家が指摘している。 サンプソン博士は「免疫ブロット法」を推奨し、メットカーフ博士とロセンバーグ博士は、皮膚尖刺試験を提案している。 メットカーフ博士によると、「尖刺試験はELISA法の複雑さを省いてくれる」ということだ。

ELISA法では、アレルゲンの疑いのあるものがアレルギー患者の血液に曝される 。 もしアレルゲンに血中の抗体が結合すればその食べ物はアレルギー反応を起こした可能性がある(試食が確認のために行われる。) アレルゲンと抗体は鍵と鍵穴のようなもの。 アレルゲンがわずかに違うだけでも抗体には結びつかない。 疑いのあるスターリンクのタンパク質はCry9Cで、驚くことにFDAが使ったのはコーンのCry9Cではなく、大腸菌で合成させた代替バクテリア蛋白である。 バクテリアのCry9C蛋白は、糖の分子(糖化)が結合しているスターリンクのCry9Cと分子量や構造が違

い、この糖分子がスターリンクのCry9Cがアレルゲンである可能性を高めている。

更に、スターリンクコーンのCry9C抗体は、バクテリアの代替蛋白を認識しない可能性があり、「誤った陰性」を示すことになる。

FDAは、スターリンクから抽出したCry9Cを使うべきである。

 

乳幼児への特別な危険が考慮されていない。

 アレルギー専門家のスターリンク問題パネルによると、以下の理由により、Cry9C

蛋白質アレルギーは大人より子供達に対する危険が大きい。

1)一般に子供の方がアレルギーを起こしやすい、

2)少量(時には極微量)のアレルゲンに反応する、

3)新種の蛋白質(例えばCry9C)に特に反応しやすい、

4)大人用のものより食品中のコーン含量が多い。

 

 アレルギーのある子供は特に心配だ。食事療法でコーン成分の多いメニューが処方される(時には50%以上)ことが多い。これは、コーンがアレルギー性を持つのは稀だというまさにその理由による。  最もアレルギー反応を起こしやすい年代層が、最も大量にCry9Cを消費していることになる。

危険度が大きいにも関わらず、政府は子供達がCry9C過敏症になるのを防止する検査をしていない。

1)EPAはスターリンク・パネルが勧告しているのに、幼児用食品中のCry9C成分量を調査していない、

2)我々の知る範囲では、FDAの検査には子供が一人しか含まれていない、

DAが小児科医にコーンによるアレルギー性を警告していれば、もっと多くの子供達が検査対象になっていたはずである。 最も危険に曝されている子供達を検査することがスターリンクCry9Cがアレルギーを起こすかどうかを決める鍵になる。

 

「博打」と呼ばれるCry9被曝予測

 アベンティスは、食品中のCry9C量は非常に低いのでアレルギーは起こさないと主張しているが、スターリンクパネルはこの被曝予測のやり方を次の理由により「博打」と呼んでいる。

1)Cry9Cの破片や変質したものを検出できないので、その量を少なく見積もっている可能性がある。

2)アレルギー反応はppbグラム・レベルのアレルゲンで起こると報告されている

3)被曝予測には花粉の飛散による他のトウモロコシが考慮されていない。 少なくとも80の種苗会社が種子汚染を報告し、ポップコーンやスイートコーン生産者も影響を受けている。

 

アベンティスの使った2つの検査を比較すると、2−9倍の違いが出ており、最先端技術を使った検査でもCry9C蛋白質の検査の精度には問題があることを提起している。

 

政府は、食品中のスターリンク混入は一切許可すべきではない。

 スターリンクの開発者(Aventis CropScience) は、EPAに低レベルのCry9Cを食品中に認めるよう要請しているが、未調査の数百に及ぶアレルギー報告と子供達への重大な影響に回答していない現状では、一切のCry9Cを食品中に認めるべきではない。 これを認めるということは、あからさまに人々の健康を無視して、強大な食品とバイテク企業の利益のために動いていることを示すものだ。

 

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