スターリンク被害に対しアメリカの農家が集団訴訟

 

ニューヨークタイムス

2000年12月4日

シカゴ発

David Barboza記者

(抄訳)

 

 スターリンクの開発会社、Aventisに対する集団訴訟が提起された。 訴えたのはアメリカ・ワシントン州の弁護士事務所、Cohen, Milstein, Hausefeld & Tollの弁護士ら。

訴状によれば、Aventis 社は怠慢から未認可の遺伝子組み換えコーン・スターリンクを食品市場に流通混入させ、アメリカの農家に大きな損害を与えた、としている。訴状は12月1日(金)にイリノイ州の地方裁判所に農家(複数)の名義で提出された。

 訴状によれば、Aventis社はコーン栽培農家に対し、スターリンクが人間に対するアレルギーの懸念から家畜飼料用と工業原料としてしかEPA(環境保護庁)の認可が得られていないことを知らせていなかった。そのため、タコスの皮から検出後、全国的な回収騒ぎに発展した。

 また、訴状によれば、多くのスターリンク栽培農家は、スターリンクの栽培や販売に制限が有ることを知らずに、非組み換えコーンの畑に隣接して植えたため、スターリンクで受粉させたり、穀物倉庫での混入を許してしまったとも指摘している。

その結果、多くの非スターリンク栽培農家までがスターリンクで汚染し、全国の穀物流通システムが機能せずに海外市場を失い、国内外のコーンの値段の暴落を招いた。

Aventis社はEPA の(家畜飼料としての)認可を受けた後に、それをGarst社その他の販売会社に売る際に、スターリンクと他のコーンの種子をきちんと分別する手段をとらなかった、と訴状は指摘している。

 

 Aventis社の代理人は、訴状を見ていない、としてコメントを差し控えたが、同時に同社がスターリンクを国内から数百万ドルかけて回収し、ライセンスを返上していること、スターリンク関係部門を売却し、農家にも損害を補償するつもりである、と云った。

 

(訳注:他紙によれば、この他イリノイ州2件、ニューヨーク州2件、カリフォルニア州1件、ペンシルバニア州1件がこの訴訟に参加する大型集団訴訟に発展している)

 

戻るTOPへ