アベンティスが農務省へスターリンク混入上限設定を求める
ザ・ニューヨーク・タイムス
2001年4月24日
抄訳 山田勝巳
食品としての認可を求めていたアベンティスが、これから後退して今度はスターリンクの食品として許容できる上限を設定するよう求めた。
スターリンクは飼料としては認められているが、アレルギーを起こす可能性のあるタンパク質を含むため食品としては認められていない。しかし、食品へ紛れ込み、タコスの皮などの製品が回収され、アメリカのコーン輸出を減らし、金と時間の掛かる検査を食品業界に押しつける結果となった。
食品業界の負担を軽減するためアベンティスは、昨秋EPAに対し、一般市民が問題を起こすような高い濃度に曝されることはないとして、4年間は食品として認めるよう要請していた。しかし、昨日そのような申請が認可される見込みは無いという認識のもとに、EPAに対し製粉工場向けのコーンについて除去しきれないタンパク質の許容上限を設定するよう求めた。
「我々の求めている幅のある救済についていろいろな方面から強い反応があった。」とアベンティスの役員が匿名で話した。
スターリンクは、コーンの主たる害虫の芯喰い虫を殺すCry9Cというバクテリアのタンパク質を生成するコーンで、食品アレルギーを起こす物理的及び化学的性質がある。 アベンティスの役員は、今回要請した上限20ppbは、現行の製粉工場でのストリップテストの検出限界で、2400粒に1個でもあれば分かる数値だと言う。これは法的には許容値と呼ばれ、製粉工場に入荷するコーンの全てを検査するという条件で認めてほしいと申請している。
アベンティスは最近行った新しいテストでは加工したものはCry9Cが充分に分解していると述べている。 従って、入荷段階で要請した上限以下であれば、製品では検出できたとしてもきわめて少なくなる。一般市民がこの蛋白に曝されるレベルは、昨年秋に予測した数値よりも80〜95%低いものになる。
地球の友のラリー・ボヒエンは、
「Cry9Cがアレルゲンかどうか分かっていない段階ではこの上限でもだめだ。もし、アレルゲンであればレベルの問題ではない。アベンティスは、どんなレベルでもそれが安全だという充分な根拠は出せないだろう。」と語る。
アメリカ食品製造業の広報担当ジーン・グラボウスキは、
「現実的な対応策だ。Cry9Cの上限なしというのは理想的だが得られそうもない。 現状ではゼロ許容というのは受け入れがたいので、わずかな混入を認める何らかの方法を見いださなければならない。 対策なしでは食品供給が引き続き滞ることになる。」と話す。