非組み換え作物生産にプレミアムを出す企業
非組み換え需要にチャンスと農家
2001年10月16日、
米国コーン生産者協会
訳 山田勝巳
カナダが米国との国境付近産コーンのスタ−リンク汚染調査を開始し、EUがトレーサビリティ規制を実施に向けた動きに対し、加工業者や輸出業者が非GMコーンや大豆にプレミアムを出すと発表し、穀物生産組合(ACGA)は、この需要に農家が応えるよう促している。
「顧客の要求を無視するわけには行かない。このままでは他の輸出国に市場を奪われてしまう。農業・流通団体は、EUのトレーサビリティや表示、そして1%許容値に不服を並べ立てていないで、外国の需要に応えるよう農家を奨励すべきだ。」とACGAの顧客担当部長ダン・マグアイアは話す。
多国籍加工・輸出業者アーチャー・ダニエル・ミッドランド社は、イリノイのデカター加工場に運び込まれる非GM大豆に対しプレミアムを20%、他の工場への非GMコーンには6−12%、大豆は10%を出すと発表した。その他の取扱業者も非組み換え商品にプレミアムを出している。
「EUがアメリカの圧力に負けてこちらの言うなりのものを買うだろうと考えて営業しているものもいるが、そろそろそんな幻想は捨てて、バイテク企業の種や薬品売り上げ目標よりも、顧客の要求を重視すべきだ。」とマグアイアは言う。
ACGAによると、EUは2,500万トン/年のコーンを買い続けているが、これらはアメリカ以外の国からだという。EUは1995/96には2,800万トンだったアメリカのコーンを減らし続けてきており、2,000/2001年には1艘分丁度の6,300トンへと落ち込んだ。
日本は、コーン輸入を昨年5,000万ブッシェル減らしている。アメリカはGMコーンを導入して以来、この地域への輸出量を3億5千万ブッシェル失った。この結果、在庫が増え、農家の引き渡し価格が下がった。 ブラジルと中国がアメリカのコーン市場を積極的に獲得している。アルゼンチンの生産者は最近、フリントコーンの純度を維持するために識別保存制度(IP)を導入すると発表し、EUのバイヤーは既にこれに向けて動いている。
アメリカは、これまでの強引なやり方を続けるのは馬鹿げているし、そんな余裕はない。アメリカもIP制度を拡張せざるを得ないのなら、素直にそうしようではないか。ヨーロッパなどのバイヤーは、米国の非GM農産物にプレミアムをこれ見よがしに払っている。
ある穀物大企業の担当者は、「IPハンドリングの費用を覚悟せざるを得ないだろう。ヨーロッパや、日本、その他の輸入国が非GM商品に既にプレミアムを払っているのであるから、バイテク企業もIPのコスト負担に協力すべきだろう。アメリカの今の農業政策では、商社が農家から買い上げ価格を非常に低く出来るようになっている。GMOの販売に問題を起こしたのは、バイテク企業だ。」とマグワイアは話す。