巨大GM種子企業に非難集中 世界農業フォーラム
2001年5月22日
セントルイス発ロイター
ケーリー・ギラム
訳 山田勝巳
数社のバイテク巨大企業が強すぎて、開発途上国の農民が飢餓と貧困を克服する力を削いでいると農業研究専門家が指摘する。
「徐々に企業の数が減ってきて、食品市場、農業そして健康の全ての面でこれまでにない支配力を持ち始めている。」と話すのは、世界農村振興基金(RAFI)の調査部長のホープ・シャンド氏。ミズーリ州、セントルイスに本拠地のあるモンサントは、遺伝子組み換え種子市場を支配していると話す。
モンサントのGM種子は、組み換え作物が商業的に栽培されている世界総面積の94%を占有していると指摘する。
シャンドのGM巨大企業リストには、デュポン、シンジェンタ・クロップ・プロテクション社、アベンティス・クロップサイエンス社、そしてダウ・アグロサイエンス社がある。シャンドは、世界農業フォーラム世界会議の3日目に農業リーダー達に講演した。
この中で彼女は世界の飢餓や貧困をなんとかしようと思うならば巨大バイテク農業企業がGM種子開発を押し進めて支配力を強めようとするのを阻止しなければならないと話した。
多くの企業は、貧しい国と作物改良技術を共有することは、特許を厳格に適用できないため会社の知的所有権を搾取につながるので乗り気ではない。シャンドはこの考えに反論する。
「この主張を裏付ける経験上の証拠は殆ど無い。」と話す。シャンドによれば、企業が特許遺伝子、特性、研究ツールを管理することが、大きな法的障壁になっていてそれを最も必要とする国の小さな会社や公共機関を苦しめている。利益中心ではなく、人間中心に方針を変えるべきだと、バイテク企業に呼びかけた。
「企業利益の追求に基づく研究目標設定では、公共の利益は無視されるのは当たり前。」という。
モンサントは、昨年8月、ビタミンA欠乏症による失明を含む疾患に有効とされる「ゴールデン・ライス」の開発については、特許使用料なしで使用を認めると発表している。
シャンドは、バイテク企業が農民の昔からの権利である種子を採種して保存する権利を奪って、毎年種を購入するようにしていることに対し、「14億以上の貧しい農民が、自分で取る種子で暮らしている。200代以上に亘って自分の地域にあった種を選抜してきている。これは世界の食糧事情を維持改善する上で最も重要なことだ。問題は、支配しようとしていることで、遺伝子巨大企業が特許GM種子で、農民をあごで使おうとしていることだ。」と話す。
多くの途上国が知的占有権を採用するように圧力を掛けられている。米州自由貿易合意では、アメリカがより厳しい特許保護を要求している。この問題は、来月ローマで開かれる国連食糧農業機構においても遺伝資源の恩恵を分け合うための交渉の中心議題だ。