ラウンドアップ・レディ・綿の“爆弾”
ロニー・カミンズ
Motion
Magazine 1997年10月 21日,
山田勝巳 訳
ミネソタ州農業局は、8月18日(1997年)、モンサント社の除草剤耐性ラウンドアップ・レディ綿が、一部地域でうまく育たないと発表した。綿の実の形が悪いとか落花するという苦情で大きな問題だと農業委員のレスター・スペルは話す。
この問題が最初に浮上したのは、8月初めでモンサントには綿花が落ちるという報告が入っていた。「製品の発表直後にはこういう問題は付き物ですよ。現在鋭意調査中です。」とモンサント広報担当のゲーリー・バートンは話す。
9月には未熟綿が落花する苦情は、ミシシッピー、テネシー、アーカンサス、ルイジアナの各州に及ぶ数千エーカーに急速に拡大した。 チャールズ・マーケル弁護士は、これら莫大な被害を被った綿農家のために集団訴訟を準備している。去年もテキサス州とルイジアナ州でモンサントのラウンドアップ・レディ綿を作った農家が、同様の集団訴訟を起こしている。
1996年のBt綿が(Bt綿で死ぬはずの)ボールワームの襲来で大打撃を受けた後、モンサントが“不実表示と詐欺”を働いたと農家は激怒した。モンサントは、後になってBtボールガードが150万エーカーの約半分の地域でボールワームを駆除できなかったことを認めた。
ラウンドアップ・レディ綿の今年の作付けは80万エーカーで、他にBt綿が150-200万エーカー。1997年の全米の綿作付面積は1400−1500万エーカー。
アメリカでも世界的にもバイテク農業に一つの失敗パターンができてきているようだ。遺伝子技術者達はGMが精密科学だと言うけれども、現場の結果はそうなってはいない。去年4月、モンサントはラウンドアップ・レディ菜種をカナダで原因不明の組み換え過程のエラーにより、作付けの全て(6万バッグ、75万エーカー分の種)を回収せざるを得なかった。同じようにモンサント・カルジーンのフレーバー・セーバートマトは技術的事故と消費者の拒否のため1996年に市場から撤退した。それから勿論、依然論争が続くモンサントの合成牛成長ホルモン(rBGH 又はrBST)は、アメリカ以外の先進国では承認が得られない。
アメリカの中でも、情報筋によれば、2週に一度注射を受けているのは4%以下である。WTOの基準設定委員会であるコーデックス特別部会は、複雑なモンサントの問題の数々のためrBGHを牛や人間に安全であると認めなかった。
注1)
BtはBacillus
thuringiensis の略で自然の土壌細菌で、世界で最も重要な自然殺虫剤。有機農業や持続農業で(勿論そうせざるを得ないとき可能な限り僅かな期間に限られるが)、コガネ虫、綿ボールワーム、コーンボアラーなどの害虫駆除に用いられる。
注2)
ロニー・カミンズはPure Food Campaignの代表。 キャンペーンはアメリカで食料生産、消費の健康的で安全かつ持続可能なシステムを構築するための非営利公益団体。