バイオテクは食糧供給を妨げる
2001年5月2日
グローブ・メディア出版
コリン・フリーズ
山田勝己 訳
医薬品や工業薬品を製造するための組み換え植物による汚染で、食糧の供給が妨げられると科学者や学者が警告を発している。
表示の義務化と組み換え食品の厳しい試験を呼びかけているマックマスタ大学の前学長を含む4人の学者による強い警告だ。この手紙の中でずさんな生産現場とバイテク研究者や監視者の傲慢さのため日常の食糧が汚染される可能性が非常に高いと述べている。
遺伝子組み換え食品は、何年も身近な所で試験栽培されているとは知らされていないカナダの消費者の、食卓にひそかに忍び込んでいる。組み換え植物の花粉は、近隣の非組み換え植物に遺伝子を移す。そして、種がこぼれたり風で運ばれて広がる。この懸念に加えて、プラスチックや薬を作るタンパク質を植物に組み込んだものによる汚染がある。
この学者たちによると、カナダでの組み換え食品の導入は巧妙になされた。分子農業は人間や動物の食べない植物に限るべきだと主張する。 分子農業の危険すぎるものは坑道の中とか地下で花粉や種の拡散の起こらないところで行われるべきだという。
この手紙は:バート・クリスティー 前カナダ農業の研究者、デニス・マックマスター 前マクマスター大学科学学長、ディック・ビームス マッギル大学動物学教授、ヒュー・レーマン ゲルフ大学農業倫理専門家の4人が署名人で、連邦議会議員の遺伝子組み換え食品の影響調査を行っている諮問委員会に答える形で出されたもの。
カナダ学士院の専門家パネルは、カナダの食品衛生は、利害や透明性の欠如、検査の曖昧さで脅かされている。この手紙の中でも学士院は頻繁に引用されていて、諮問委員会が業界びいきで学士院を軽視しすぎていると非難している。
これまでGM作物は殺虫性や除草剤耐性が多かったが、人間のDNAをアルファルファに組み込んだり、菜種に入れてプラスチック原料のポリマーを作ったり、ゴムの木に組み込んで血液蛋白を生成しようとしたりという実験も進んでいる。
GMに予防策が必要なことは誰でも認めるが、現在あるものや検討中のもので充分かどうか、また組み換え作物が在来のものよりも本質的により危険なのかどうかも明らかにする必要がある。
これまで組み換え作物が原因で生じた健康被害はないが、飼料用だったものが食用に紛れ込んだり、ブラジルナッツの遺伝子が大豆に入ってアレルゲンを持ち込んだ事件がアメリカで起こっている。
アルバータでは3品種の除草剤耐性菜種が近くで栽培されて、3種の除草剤に耐性のある菜種が出来た。こういうずさんな実態がスーパー雑草を作り出すのだろう。