初めての遺伝子操作赤ちゃんが誕生し、健康であることを科学者が確認。
ミトコンドリアにある細胞核外の遺伝子。
BBC ニュース・オンライン
ディビッド・ホワイトハウス
訳 山田勝巳
これまで30人が誕生し、その内15人はアメリカにある研究所の実験プログラムの結果誕生したものである。しかし、非科学的であると非難する学者もあり、英国を含む多くの国では法律違反にあたる。
2歳の子供の遺伝子検査では、両親以外からの遺伝子が確認されている。
別の遺伝子は、母親の不妊症を克服するために健康なドナーからのものである。この子達の持っている生殖細胞又は子孫へ伝える遺伝子群は追加遺伝子で組み替わっている。
生殖細胞を変えることは、大多数の科学者が現在の知見では非道得的だとしているものだ。
これは不法にしている国が多く、アメリカ政府も意図するしないに関わらず継承される遺伝子を操作する実験には資金をだすつもりはないと言っている。
子供たちは卵質転送(ooplasmic transfer)と呼ばれる技術で生まれた。 この技術は、提供者の細胞から裁縫質の一部を取り出し、不妊症の女性の卵細胞に注入するものである。ニュージャージィのセント・バーナバスにある生殖医科学研究所の学者は、不妊女性はミトコンドリアに問題がある人もいると考えている。
ミトコンドリアには核とは別に遺伝子があって、細胞質の中に浮遊しておりその数は10,000に達する。
ミトコンドリアは細胞のエネルギー生産に欠かせないもので、未確認だが重要な働きがあると考えられている。
ミトコンドリアのDNAは、母親のものを代々伝えるもので、アメリカの科学者は欠陥のあるミトコンドリアを健康な女性のもので補完した。この結果産まれた子供の検査では、その細胞に父親の遺伝子と共に二人の母親の遺伝子がミトコンドリアの中にあることが確認されている。
人間の生殖ジャーナル誌で、研究者達は、これが人間の生殖細胞の遺伝子操作をして正常で健康な子供が産まれた最初のケースだと書いている。
イギリスの専門家はこのことを強く非難している。
ロンドンにあるハンマースミス病院の不妊症治療の先駆者であるウィンストン伯爵は、大きな不安があるとBBCニュース・オンラインに伝えてきている。「不妊治療でこんな事をしなければならない理由は何もない。現段階で実際に行われたこと自体驚きだ。イギリスではこんな事は許されない。不妊症の重要な治療法である証拠は一つもない。追加遺伝子の数は少ないかもしれないが、やってはいけないことだ」と話す。
英国の生殖医療を監督する「人受精と発生学局(HFEA)」は、この技術は承知しているが、英国では不確実であることと生殖細胞が変わる可能性があるため許可しないことに決めたと伝えてきている。
HFEAは、余計な心配が増えたとして歓迎していない。
アメリカの学者も遺伝子操作した子供を誕生させたことを非難している。ケース・ウェスタン・リザーブ大学のエリック・ジュエングストは、生殖遺伝学の技術が未来の子供達を決定することについて、広く一般に透明にする約束をしている人にとっては問題だ、と話す。
アメリカ政府組み替えDNA諮問委員会が伝えたところによると、今回のことは政府資金を使わずに行われており、人間の生殖細胞を操作することにつながる申請は一切考慮しないと言う。西オンタリオ大学のジョー・カミンス教授は「今は、人間の生殖細胞遺伝子治療を裏口から持ち込ようなことをすべき時ではない。」と話している。