カナダが生物多様性議定書の署名へ
環境ニュースサービス
2001年4月9日
要約
山田勝巳
昨日、カナダがカタルヘナ議定書署名を発表したことで、遺伝子組み換え体の国際間移動に対する規制が実現に向けて前進した。
カタルヘナ議定書は、国連の生物多様性会議が交渉の場となって、動物や微生物など組み換え生命体の貿易を認めながら、生物多様性を守ろうというもの。1999年コロンビアのカタルヘナで調印され、2000年にモントリオールで採択された。177カ国が参加して話し合われており、86カ国が調印し、ブルガリアとトリニダッド・トバゴが批准している。議定書が発効するのは、50カ国が批准してから90日後となっており、国連環境計画によるとあと2−3年はかかるという。
カナダが調印するのは、4月19日の持続的開発委員会の会議においてで、批准については国際間の話し合いの進展をみながら検討するとしている。
カナダは議定書の作成に重要な役割を果たしてきており、2000年のモントリオールでの調印にも仲介役として合意到達に努力している。
カナダは批准するまでは次のようないくつかの課題があるという。
・情報共有システムの構築
・遺伝子組み替え体の取り扱い方法、輸送法、梱包、標識に関する国際的規則や基準の見直し。
・ コンプライアンス(異議申し立て)制度を作るためのオプション
・GM体の輸入を希望する国の意志決定を促進する方策
各国政府は、GMの輸入の可否を認定されたリスク評価技術に基づく科学的評価によって行うことになる。国連環境計画によると、議定書は予防原則に基づいているので「環境や健康へのリスクがあるかどうかの十分な科学的情報や知識がないために科学的確信が得られなければ」輸入する必要はないという。