急速に拡大しているカナダの自然食品市場
2001年7月6日
フィナンシャル・ポスト
ホリー・ショー記者
抄訳 河田昌東
カナダの消費者はやっと有機農産物や有機食品の選択の機会をエンジョイしようとしている。自然食は、過去10年間で米国スーパーマーケットの最も速い成長分野であり年間20%の成長率を誇る。今や80億ドル(8千億円)産業に成長しつつあり、今後2年間にカナダでも同様な爆発的拡張を図っている。
アメリカで主導的な自然食マーケットとなった、テキサスに本拠を置くホールフッド・マーケット社は、この秋にもカナダのトロントで開店し、数年後にはカナダのすべての沿岸で10以上の巨大な店舗を展開する予定である。
また、コロラド州のワイルド・オーツ・マーケット社は、合衆国第2の自然食マーケットだが、すでにブリティッシュ・コロンビア州で4つの店舗を開いており、トロントとカルガリーも狙っている。
また、カナダの主要な食品チェーン店 − Sobeys、A&P、セーフウェー、およびLoblaw
Cosなど −はすでに自然食品分野で何が受けるか感ずいており、急速に自然食原料のストックを行っている。
Loblaw〈カナダ最大のスーパーマーケット・チェーン〉は、オーガニックに非常に熱心で、そのために別個のプライベート・ブランドを作成した。そのブランド「大統領が選んだオーガニック」は昨年末発売されたが、コーヒー、食用油、穀類、および香辛料を含む約25の製品を含むブランドである。 Loblawの計画では今年末までに200品目に増やす予定である。
さらに、すべての新しく開店するLoblawの店舗は自然食品で組み立てられる。
スポークスマンのジェフ・ウィルソンは、「カナダで成長している、より健康な食事およびより健やかなライフスタイルという販路があり、そうした商品の需要は増える」と言い、その販売戦略は明らかにしなかった。
Loblawは、オーガニック食品と添加物や薬品を含まない在来の製品を扱っている「ホール・フッヅ」の戦略を注意深く監視してきた、と小売りエキスパートは語った。顧客によれば、ホール・フッヅには家族にとって必要なものは何でもあるので、普通のスーパーマーケットには行く必要がない、という。
Loblaw同様、ホール・フッヅは独自のプライベート・ブランドを365品目持っていて、より安い値札がついているので、消費者にアピールするのである。
それで、ホール・フッヅのように、Loblawは、スタッフに自然食エキスパートを雇い、消費者を教育し、消費者の選択を手助けすることにした。
トロントのJ.C.Williamsグループの小売りコンサルタント、ジョン・ウィリアムズが言うには、「Loblawは長い間この市場を注視してきた」。「最近のLoblawsの内部報告書を見れば、この会社がいかに有機食品や安全食品に重きを置いているか、きっと驚かされるだろう」
ボローニャソーセージなど、大豆ベースの肉代替食品を売る、カナダ最大のロイ・キングスミス社は、10年前の同社の顧客の80%はベジタリアンだったが、今ではビジネスが成長して一般客が増え、ベジタリアンの割合は4%に過ぎない。「明らかに、顧客の主流は安全な代替物を求めている」とキングスミス氏は言う。同氏によれば、ホール・フッヅとワイルド・オーツは中小の健康食品店には脅威だが、(有機食品を扱う)カナダの在来スーパーにはもっと恐るべき競争にさらされることになる。」
ウィリアムズ氏もキングスミス氏も、自然食を求める傾向は、特に消費者が年をとるにつれて、食習慣を改善したいという願望が増し、大きくなると信じている。
同時に、遺伝子組換え食品に対する恐怖も増大中である。カナダの市場調査会社NPDグループによる、最近の世論調査によると、消費者の85%が遺伝子組換え食品には表示してほしい、希望している。
より多くの消費者が自然食品を望んでいるようだが、彼らはまだ、何処でそれを手にいれるか知らない。 カナダの政府は、オーガニック食品の基準を作成した。それによれば、オーガニックには遺伝子組換え体が入ったり、放射線照射をしてはならない。
しかし、カナダにはオーガニックを認証する機関がまだ無く、この基準はあくまでも自発的なものに過ぎない。カナダ政府は、現在「オーガニック」の表示のための基準の検討中である。