スターリンクがホワイト・コーンチップで見つかる
マーク・カウフマン
ワシントンポスト(2001年7月4日)
抄訳 河田昌東
昨年イエローコーンの品種で見つかり、製品の回収に発展した遺伝子組換え、スターリンクが今度はホワイト・コーンのトーテイラ・チップで見つかった。食品産業が組換え体と非組換え体を分別する困難が改めて浮き彫りになった。
FDAは、先月フロリダの消費者の苦情に基づいて検査した結果、Kash n’ Karryのホワイトコーン・トーテイラ・チップにスターリンクを検出した。FDAは今回は回収を命じないが、Kash n’ KarryとFood Lion 食品チェーンは昨日これら製品を店舗から撤去する、と言った。
昨年秋、イエローコーン製品からスターリンクが出たために多くのコーン・チップ・メーカーやトーテイラ・メーカーは原料をホワイトコーンに切り替えた。ホワイトコーンの市場でのシェアは全米の3%である。これらの処置は消費者の不安に応えるためである。同時に、ホワイトコーンにすればスターリンクは混入しない、と言ってきた。
アヴェンテイス社のスターリンク・コーンは人にアレルギーを起こす危険があるとして食用には認可されていなかった。しかし、最近FDAはその報告書で、コーン製品を食べてアレルギーになったと訴えでた17名について、血清中にスターリンクの抗体は無かった、と発表したばかりである。
今回FDAがホワイトコーンにスターリンクを見つけたきっかけは、前回調査で対象になった17名の1人である、フロリダ州のオプトメトリスト(視力測定者)のKeith Finger からの連絡であった。ホワイトコーンにはスターリンクが入っていないと聞いた彼の妻が、コーンチップを買ってきた。彼はそれを少し食べた後で調子がおかしくなり、FDAに連絡したのである。
FDAのスポークスマンは「状況を継続して調べる」といったが詳細な説明は避けた。
ホワイトコーン製品にスターリンクが見つかったことは、遺伝子組換え作物の拡散を阻止するのが如何に困難かを示している。ホワイトコーンはイエローコーンとは分離して栽培され、流通している。それに業界によればホワイトコーンには遺伝子組換え品種はない、という。
しかし、同業界筋によれば、イエローコーンだろうとホワイトコーンだろうと、混入を避けることは不可能なことが証明されたのだ。流通段階での混入もあるし、栽培での花粉による汚染もあるからだ。
全米コーン生産者協会のThomas Sluneckaによれば、ホワイトコーンにスターリンク混入が見つかっても驚くにはあたらない。「現実的には、我々は混入完全ゼロを要求するのではなく、受け入れ可能な混入レベルを設定すべきだ」という。
昨年、アヴェンテイス社はEPAに対してスターリンクを食用に認可するよう申請しなおした。企業と業界を守り、将来の頭痛の種を除こうとしたわけだ。バイオテク批判派は認可に強く反対し、スターリンクを人間の食物連鎖から排除すると約束したほうが会社のためだ、といった。しかし、それは不可能だった。EPAの諮問委員会は今月末に新たなスターリンク情報を検討する会合を開き、アヴェンテイス社に認可を与えるかどうか勧告する。(訳注:7月17〜19日の予定)。