ハイテク作物は頭に悪い
Geoffrey
Lean 環境記者、
2000年4月23日
山田勝巳 訳
地球的飢餓を救う“奇跡”の作物が、途上国で広がる脳障害をもたらしていると最近のレポートは結論している。それによると、”緑の革命”として大々的にふれ込まれた高収量の米と麦の品種が、人間の知性を蝕む環境要因の一つに上がっている。
この研究は、人間の知性に対する環境からの脅威を調べるためにイギリスの経済社会調査委員会が資金提供して地球環境変動プログラムの一貫として行われた。土壌浸食と汚染と不十分な食事という組み合わせが、重度の知的障害から軽い低下傾向までの影響を数百万の人口に及ぼしていると結論している。
1960年代から1970年初期までに導入された緑の革命品種は、数倍の収量をもたらして、在来の品種に取って代わり急激に広まった。インドでは麦の収量が7年で倍増し、食糧供給を劇的に増やして、予測されていた飢餓を回避した。
しかし報告では、新品種は在来の物と違い鉄分や亜鉛といったミネラルを吸収しないので、カロリーは増えたが必須ミネラルの摂取量は減った。「高収量緑の革命品種は飢餓を克服するために貧しい国に導入されたが、必須の微量要素を吸収できないので、今では知性の低下の原因となっている。」としている。
報告者は、地球環境変動プログラムの研究員Dr. Christopher Williams で、国連データを使って15億の人々が緑の革命鉄欠乏の影響を受けていると算出した。これがインドの学童の半分以上が学習障害を起す原因となっており、発達段階において、消化器官が養分欠乏に対応するため知性を犠牲にして形成され、脳の進化が退行するのだと結論している。
教授の情報源には、FAOによるデータが含まれていて、これには、多くの第3世界では1970年代、80年代にかけて食事中の金属摂取量が落ちていて鉄欠乏が20年間で唯一増加している栄養不足であることが示されている。中でも南アジアと東南アジアで鉄欠乏が大きく増えており、まさに緑の革命が成功を収めた地域と一致している。別の国連の数値では、妊婦の半数が貧血症で、親子ともに危険にさらされている。これは年間20万人の死亡原因とされている。世銀は、鉄分、沃素、ビタミンA欠乏が途上国のGDPを5落としており貧しい経済の足かせになっていると考えている。