ゴールデン・ライスのリリースは向こう5年はない
グリーン・ピース 3月20日
ロンドン・マニラ発
訳 山田勝巳
国際稲作研究所(IRRI) は、グリーン・ピースに対し、遺伝子組み換えのゴールデン・ライスを近い将来環境へリリースつもりはないこと、また圃場試験ができるようになるのは5年後くらいの見込みであること確認した。
フィリピンにある研究所を訪ねたIRRIの科学者が、グリーン・ピースに話した内容では、ゴールデン・ライスの色々な遺伝要素、特に遺伝子の構造(gene construct)と抗生物質耐性遺伝子を変えたり除いたりする必要がある。研究所ではこのGE米の品種を育種のために今年初めに受け取った。
コールデン・ライスを、厳重な囲いの外に出す前に解決しなければならない不確かな点が多くあり、この中には環境リスクと健康と栄養面の問題もある。また、今のゴールデン・ライスにはベータ・カロチンの量が非常に少なくて、より多くのプロビタミンが必要であることを確認した。また、ビタミンA不足を解決する最善の方法は、色々な物を食べることだという点で合意した。
グリーン・ピースは、世界の米研究をリードする研究所がいわゆるゴ−ルデン・ライスを慎重に扱っていることを歓迎するものの、IRRIに対し多国籍GE企業の利益のために時間を費やすのはやめて、持続可能な解決策で公衆衛生の向上に焦点を絞るよう要請している。ゴールデン・ライスは、ビタミンA欠乏症の手っ取り早い解決法としてGE企業が喧伝している。
グリーン・ピース東南アジア・キャンペーン担当のVon Hernandezは、「安くて確実な解決策や技術がある。問題はこれをやり遂げるだけの政治的決意がないことと、実行するための手段が十分ではないことだ。GE企業がビタミンA欠乏症の解決策としてゴールデン・ライスを宣伝し続けるのは無責任だ。欠乏で苦しむ親子の惨めな姿を自分達の利益のために利用している。」と話す。
IRRIの科学者は、自然の品種でベータ・カロチンか、他のビタミンA前駆体を含むものがあるのではないかとの質問に有り得ると答えた。しかし、そのようなプロビタミンが豊富な自然の品種があるのか殆ど調査されていない。また、遺伝子組み換え研究の費用は総予算の3%に過ぎないとも言う。
(1)
Gene
construct (遺伝子構成)とは、生物に組み込まれた遺伝子材料や遺伝子構造のこと。 IRRIの科学者達は、ゴールデン・ライスのベータ・カロチン量を増やすには別のタイプの遺伝子構成が必要だという。
(2)
抗生物質耐性遺伝子は、組み換えが上手くいったかどうかを調べるためにマーカーとして使われる。今のゴールデン・ライスには、まだ抗生物質の一種ハイグロマイシン(hygromycin)耐性因子が使われている。マーカー遺伝子は健康リスクがあるので使わない様にしようということが広く合意されている。
(3)
IRRIは最近ビタミンAの多い品種を探すプロジェクトを開始した。
他に遺伝子や植物の特許のために公的研究や生物学的害虫駆除が非常に妨げられている事を話し合った。またグリーン・ピースはIRRIがBTライスの研究等の遺伝子組み換え研究を行っていることを非難した。