安全に疑問の出たGMリスクテスト

 

ザ・ガーディアン 2000年11月4日.  

John Vidal

訳 山田勝巳

 

英国で最初の商業生産が期待されているGM作物コーンの安全性を民間の科学者が、企業の研究を調べた結果、鶏を死亡させる傾向のある疑いがあることが分かり、昨夜問題となった。

 Steve KestinとToby Knowlesは農業省の鶏の研究を担当し、地球の友(Friends of the Earth)に委託されてアベンティスが支持する英国のGMコーン生産の研究内容を調べた。

ブリストル大学の臨床獣医学部に所属する二人は、昨夜の政府公聴会で、鶏の死亡に「内容に問題があるが調査していない」事が分かったと発表した。

GMメイズで育てた雄のブロイラー140羽中10羽(7.14%)が死亡したのに対し、普通メイズで飼育した方は5羽(3.75%)だった。これは「実験に問題があったか、飼料の問題かだが更に調べる必要がある」と提起した。

アベンティスの報告では死亡率は「この成長の早い品種では普通」だとなっており、この飼育期間では一般的死亡率は「5−8%」だとしている。しかし、英国養鶏業界筋は、こんなに死ぬのはおかしい、「4%が平均で、5%以上は何か問題がある」という。

二人によるとアベンティスの実験方法や結論にも問題があり、給餌試験は「不適切」であり「科学誌に公表するには貧弱」だという。更に、試験回数も科学的に有効とは言えず、一般的には14回追試が必要だが、4回しか行われていない。この方法は「影響がないことを示すためには最適な方法」だ、と。また、試験計画にも問題のあることを指摘した。「この試験を評価せず、問題のあることを、政府が見いだせずに、地球の友が適正な検査をするというのは驚きだ。」とKestin博士は述べた。

公聴会でアベンティスのGM青刈りメイズの販売についても科学的証拠を問題にした。特に、GMメイズを与えるはずの牛への給餌試験がない。この席でアベンティスは、証拠を出すのを拒否した。

今週初め、農業省はフランス政府の行ったChardon  LLの試験は、EUの法律では2年間になっているのに1年しか行われていないと発表している。昨夜の露見で政府のGM政策は更に難しいものになった。

農業省は4月にChardon  LL(アベンティスの除草剤に耐性を持つように遺伝子組み換えしたもの)を最後の法的障壁である、国の種苗リストへの登録を行うつもりであると発表した。しかし、地球の友によって発見された法の抜け穴のためこの決定に国民の請求が出された。

アベンティスは「Chardon LL  は、法で定められた手続きを全て完了しているので、当然、種苗リストに載るはずだ。」と発表した。

 

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