EPAがスターリンクコーンを食品として拒否
マーク・カウフマン
ワシントンポスト
2,001年7月28日
抄訳 山田勝己
連邦政府が行っていたスターリンクコーンのアレルギー反応性について、EPAが招集した専門家委員会は、食品として安全であるという確証が得られなかったと発表した。
委員会はスターリンクコーンがアレルギーを起こすとは結論しなかったが、数ヶ月に亘る連邦機関の調査で「反応を起こす可能性を否定できなかった」という。
委員会の勧告に基づき、EPAはスターリンクの微量な混入も許可しない方針を継続すると発表した。 これによって開発したアベンティス・クロップサイエンスの許可要請を却下した。
EPAの農薬、毒物被害予防局のステファン・ジョンソンによれば、「世界のアレルギーや食品安全の専門家が、『許容できるレベル』を示す十分なデータがないと言うので、我々としてはアベンティスの申請を却下する以外にない。従って、スターリンクを一切認められない」と言う。 また、予防局は、専門家委員会のスターリンクのアレルギー反応調査の範囲を可能な限り広げるべきだという勧告にどう対応するか検討している。 委員会は、連邦政府は通常アレルギーの原因ではないコーンでおかしな反応があったものを専門医から集めるべきであり、調査についてもより範囲を広げて全ての遺伝仕組み換えと食品アレルギーを調査すべきだと勧告している。
更に委員会は、医師立会の下に皮膚試験とスターリンク・コーン製品の試食を行うと申し出ている特に反応が激しかった2人については、是非とも更なる検査を行うべきだと勧告している。
その一人、フロリダの検眼士キース・フィンガーは、昨年秋に初めてアレルギーのでたスターリンクコーンを探し当て、また匿名で郵送されたものも受け取って、これらがスターリンクに間違いないことを検査した上で、それを食べ数時間後全身に痒みを伴う吹き出物が現れ急速に血圧が上がったため病院へ行った。
7月中旬に行われた2日間の証言では、フィンガーを含む17名の血液検査では実際に身体的反応があったという痕跡はなかったとFDA職員は発表した。
専門家委員会は、検査内容と検査の規模に疑問を呈していて、除外はしないものの、これらの検査ではスターリンクにアレルギー反応を起こしにくい。 ジョンソンは、昨日「アレルギー問題に答えるためには、何ヶ月、何年もの科学的調査を続ける必要がある。」と話した。
アベンティスは、委員会の結論やEPAの決定には驚いていない。スターリンクのCry9C蛋白がアレルギーを起こすかどうかを結論づけることは出来ない、と話している。 また声明の中で、Cry9Cのあるスターリンクコーンは全て家畜と工業用に回す方針を強調した。「今後とも穀物取扱業者や製粉業者の検査プログラムを支援して行くし、スターリンクコーンの封じ込めがうまくいっていると自信を持っている。」と話した。
委員会の報告では、食品中のスターリンクは昨秋見積もったよりもかなり低くなっており、アメリカ人の食事中に含まれるスターリンクの量ではアレルギーを起こす可能性は低いと結論している。 委員会の席で農務省の担当はスターリンクを含む種子の買い上げに1,300万ドルから1,700万ドル支出する見込みだと伝えている。
穀物及び食品業界は、どんなコ−ンにも何らかの遺伝子組み換え蛋白が微量存在するのだから、スターリンクコーンの混入を微量認めるべきだというアベンティスの要請を支持してきた。「食品業界は、今日のEPAの決定にがっかりした。食品市場に不透明さと不安が続く、また結果的には価格の上昇につながる。こんな状態を長く続けるのはまずい。」とアメリカ食品製造者団体のジーン・グラボウスキは話す。
しかし、環境グループ地球の友のビル・フリースは、委員会報告は「EPAもFDAも公衆衛生を守るためには、より厳格に遺伝子組み換え食品を規制して行かなければいけないことを示している。」と話す。