ヨーロッパでコーン種子に遺伝子汚染発見
2001 年5月6日(日曜日)
グリーンピース
ブラッセル発
山田勝巳 抄訳
グリーンピースが行ったオーストリアの独立検査機関で検査した普通種のコーン3品目で、モンサントとノバルティスの組み替え遺伝子株が発見された。ドイツでも別に2件発見されている。
これは、広範な遺伝子汚染のため種子の素性が確かなものか分からない状態であることを農民に警告している。
ヨーロッパで発見された3件では、EUで栽培が禁止されているノバルティスのBT11とモンサントのGA21が検出されている。これは氷山の一角で、GM汚染を検査する設備がないか政治的に農民や消費者を保護する意志のない国では、検査が出来ていない、とグリーンピースのロレンツ・ピーターソンは話している。
世界で主に遺伝子組み替え商品を出しているモンサント、アベンティス、ノバルティスの3社は、他の種子を汚染しないようにする義務があるにもかかわらず、これまで一貫してこの責任を無視してきている。
グリーンピースは、EU及びEU各国に対し未承認品種のゼロ許容を実現するための対策をとる事、汚染種子の回収、そして既に植えられた物の処分を要求している。
信頼できる品質保証制度を作り、これ以上の種子汚染を防ぐ必要がある。
汚染者負担の原則は、EU環境法の基本原則だが、これに則って農家や小売業、有機農業関係者に対し、GM種子企業に賠償させるべきだ。
注:
1)
イタリアでは数百トンの大豆、トウモロコシが港で「封鎖」されており、処分するよう求められている。ギリシャでは今年も綿の種子に汚染が見つかっている。イギリスでは、政府の研究者が普通種の菜種2品種で汚染検査をしている。カナダでは、モンサントが輸入国のEUで未承認GMで汚染された「クエスト」菜種を必死で回収している。 昨年フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、スェーデン、英国で汚染菜種が6000ha強に播かれた。更にフランスでは4800haに汚染のあるコーンの種が播かれた。
2)
普通種のパイオニアPR39D81からノバルティスのBT11とモンサントのMon810とMon809(両者の識別は不可)が検出された。Mon810種はオーストリアでは禁止されている。また、Mon809は、EUで全体で禁止である。
3)
EUでは、GM種子は計画的リリース要項(Deliberate Release Directive)90/220によって、市民の了解を得なければ販売、栽培を認められていない。昨年の汚染事件をきっかけに、EUでは加盟各国がそれぞれ種子の検査をすることが義務付けられており、閾値は90/220にある品目ではゼロとなっていて、承認済みの物は0.5%となっている。