カナダの有機農産物市場が急速に拡大

有機農産物の狂熱的な成長――合衆国企業の販売店拡大にすばやく対応

 

ザ・ガゼット (カナダ・モントリオール)

8 24, 2001

ホリー・ショウ

訳 岩月要二郎

 

有機農産物を求めるカナダの消費者たちは、これまで何十年もの間、特殊な専門店や生産者を探し出さねばならなかったが、今まさにさまざまな選択肢の饗宴を楽しもうとしている。

 

 自然食は、合衆国のスーパーでこの十年間で最も速く成長した分野であり、年率20%の成長、今や80億円産業となった。カナダでも次の二年間に同様の爆発的増加が起ころうとしている。

 

 テキサスを基盤とするホール・フーズ・マーケット社は、合衆国でも第一級の自然食スーパーに成長した。そしてこの秋、トロントの商店とともにカナダ市場に飛び込む予定で、次の数年間カナダ全土に大規模販売店を十店舗も開く計画だ。

 

 コロラドを基盤とするワイルド・オーツ・マーケッツ社は、合衆国で第二の自然食スーパーであるが、すでにブリティシュコロンビア州で、ケイパーズの旗のもと販売店を四店営業している。

 

 カナダ市場が儲かりそうに思えるとしても、合衆国のスーパーは、闘わずして大儲けはできないことを知るだろう。カナダの主要な食品店チェーン――ソビーズ、A&P、セイフウェイアンドロブロウ社――は、“有機農産物戦線”で何が料理されているかすでに嗅ぎつけており、広範囲から寄せ集めた自然食品を急速に蓄えつつあるからだ。

 

 国内最大のスーパー、ロブロウは有機食品に力を入れており、そのために別個のラベルを作ったほどである。“プレジデンツ・チョイス・オーガニクス”は、昨年着手され、コーヒー、料理用油、シリアル、調味料を含む25品目を販売している。

 

 ロブロウは、今年の末までにそれを200品目に拡大しようと計画している。それに加えて、ロブロウの新店舗には全て自然食部門が設けられ、3区画から4区画の面積を占めることになる。

 

 スポークスマンのGeoff Wilsonは、あまり明確な販売状況を明らかにしないのだが、「カナダで、より健康な食事とより健康なライフスタイルが広がりつつあり、そういったタイプの商品に対する需要が増えている」と言った。

 

 ロブロウはホール・フーズの戦略――ともに添加物や化学物質を含まない有機農産物や従来からの食物を蓄えている――を注意深く監視した、と小売りの専門家は言う。消費者は従来のスーパーに行く必要はないという。ホール・フーズが彼らの必要な特殊な家庭用品を全て売ってくれるからである。

 

 ロブロウ同様、ホール・フーズにも365という独自のラベルがあり、値段がもっと安いので消費者には魅力である。そしてホール・フーズ同様、ロブロウも自然食の専門家を雇って売り場に配置し、消費者に商品について教育し、商品を選ぶ手助けをさせている。

 

 トロントのJ.C.ウイリアムズグループの小売り顧問、ジョン・ウイリアムズは言う「ロブロウは長い間この市場に注目してきた」「ロブロウの(最新の)内部レポートを見れば、当社の有機食品および食品全体に対する力の入れ方に驚くだろう」。

 

 ベジー・ボローニャなどの、大豆をベースにした肉の代用品の最大手イブ・ベジ―・クイジン社のマーケティング部長、ロイ・キングスミスは言う――十年前は当社の顧客の80%は、絶対菜食主義者や菜食主義者だった。イブ社の業績が伸びるにつれ、その数字は4%にまで縮小した。

 

 キングスミス氏は言う「明らかにこれは、より健康な代用品を求めている、消費者の主流の人々なのです」。

 

 ホール・フーズやワイルド・オーツが、確かに小さな自営の自然食品店に脅威を与えるとしても、カナダ従来の大手スーパーとはもっと手ごわい競争になるかもしれない――と、キングスミス氏。

 

 「従来からの食品店がその頂点にある。彼らはホール・フーズの客を自分のほうに定着させるため、独自の“店内店舗”コンセプトを作りつつある」。

 

 ウイリアムズ、キングスミス両氏とも、(歳をとるにつれ特に)食生活を改善したいという消費者の欲求が増加し、それが自然食ブームに拍車をかけていると考えている。

 

 同時に、遺伝子組み換え食品に対する恐怖も高まりつつある。市場調査会社NDPカナダによると、最近の世論調査を受けた消費者の85%が、遺伝子組み換えの材料を含まない商品にはそのような表示をしてほしいと望んでいる。

 

 有機農産物を手に入れたい消費者が増えているようだが、彼ら自身何を食べているのかが確かになるまで、道のりは遠い。カナダ政府は、何を有機農産物と呼んでいいのかの基準を作った。それによると、有機農産物は、遺伝子を操作したものや組み換えたものを含んでいてはならず、また、イオン化放射線を通して保存してはならないことになっている。

 

 しかしカナダには、食品に対する「有機」の表示を取り締まる公式の認証団体はないし、カナダ政府の基準は任意である。

 

 カナダ全土には有機農場を検査する団体がいくつかあり、認証機関としての資格を得ようと努力しているところもある。しかし、彼らの“有機”に対する定義は一様ではない。カナダ一般基準協会は、現在“遺伝子組み換え体を含まない”という表示に対する国の基準を確立しようと討議中である。

 

 

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