遺伝子組み換え作物と在来作物を分離し続けるのは、非現実的だ
―専門家は言う
国内情勢局24巻12号:477頁
2001年6月6日
訳 岩月要二郎
米国の、穀物を栽培・流通させるシステムは、遺伝子組み換え作物と在来作物を分離し続けられるほどは発達していない。その意味するところは、消費者が遺伝子組み換えの材料を少なくとも低レベルで含んだ食品を食べていかなければならないということだ―5月23日、産業コンサルタントの発言。
それにもかかわらず、自社製品に“遺伝子組み換えの材料を含む“というラベルを避けたい(そのようなラベルが必要な国において)食品会社は、その二つのタイプの作物を離し続けるために、多額の費用をかけてしかも不十分な形で、分別と同一性の保持を行なわなければならないだろう―ミネソタ州ニューブライトンに本社を置くバイオラショナルコンサルタント社社長スーザン・ハーランダーの発言による。
「あらゆる食品をハウスで栽培したいなら別だが、私たちは遺伝子組み換え作物からの、一定の低レベル汚染の中で暮らさなければならなくなる」と、食品技術者協会の会合でハーランダーは言った。在来作物とバイオテク作物との交雑は避けられない。だから「あらゆる食品を、バイオの特徴を一定程度以上もった材料を全く含まないようにする」という意味での“ゼロ”は達成不可能である―そう彼女は付け加えた。
しかし、遺伝子組み換えの材料を含む食品にラベルが必要な国で製品を売りたい食品会社が、その製品がラベルの基準値以下であることを確実にするためには、まだ多くの手続きが必要だろう。
たとえば欧州連合(EU)では、遺伝子組み換えの材料を1%以上含む食品は何であれ、ラベルを貼らなければならない。ヨーロッパの消費者はバイオ食品に強い不信感を表わしているので、食品会社はラベルが必要となるのを避けるため必死なのだ。
分別は難しい
これらの食品会社は、購入する在来穀物をバイオ穀物から厳密に分別しなければならなくなるだろう―ハーランダーは言う。「EUや他の国で、遺伝子組み換えのラベルを避けようと思うなら、非常に骨の折れる監視システムが必要になる」「それは、畑に栽培するものから加工の過程全体を通して、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物のそれぞれの同一性を保持し、分別しなければならないということだ」。
これは費用のかかる、問題の多いシステムで、結局は失敗するだろう。アメリカの大規模な穀物流通システムは作物を分別し続けるようには設計されていないので、尚更である、と彼女は言う。このことは、最近のスターリンクの問題で証明された。バイオのスターリンクというコーンの品種は、動物用には認可され人間の食用には認可されていないのだが、広範囲で在来コーンと交じり合ってしまった。
ハーランダーは言う「それが私たちに証明してくれたのは、同一性を保持するシステムは今日ではうまくいっていないということだ」「わが国の農業システムは、これらを分別できるところまで発達していない」。
また食品会社は、食品が遺伝子組み換えの材料を含んでいるかどうかを識別できるかどうかを確かめるため、信頼できるテストを行なう必要がある、と彼女は言う。重要な問題は、現行のテストは信頼がおけず、しばしば間違った結果を生じることがあるということだ。
しかし、バイオの材料を避けたい食品加工業者にとって、もう一つ微妙な問題がある。―他の業者から購入して食品に加える、第二の材料の構成である。
たとえば、製品をビタミン類で強化している会社は、業者から購入するビタミン材料については把握しているだろう。しかし、業者がコーンスターチをベースとして使い、そのコーンスターチが遺伝子組み換えコーンからできているかもしれないことはおそらく知らない。
「製品に、隠れた第二の材料があるかもしれないし、すべての材料が何なのか本当に理解しなければならない」。
最終的には企業は、材料内訳のシステムを改め、使っている材料が自分の称する通りかどうか確かめるための検査プログラムを設ける必要があるだろう。