アメリカは、Btコーンの販売登録を7年間更新
ワシントン発 ロイター
2001年10月18日
ジュリー・ボーマン
抄訳 山田勝巳
EPAは今週遺伝子組み換えBtコーンが人や蝶、鳥などの動物に対して危害がないとして今後7年間販売の許可を与えると発表した。
このEPAの決定は、アメリカの環境団体の組み換え作物の影響をもっと研究するようにという要求と、食品産業の遺伝子組み換え作物は、農家にとって有益だとしてくすぶっていた議論に終止符を打つことになる。
Btコーンには、モンサント、デュポン、ダウケミカル、シンジェンタによる5種類ある。この殆どがEPAによって1995年に認可され今年9月30日に期限切れとなっていた。
EPAは、科学的研究と実績によってBtコーンが人やオオカバマダラ蝶、その他の動物に毒性はないとし、「EPAは必要十分な評価をした。登録に必要なセーフガードによって、農家は効果的にリスクの少ない病害虫防除ができ、環境負荷も減る。」とステファン・ジョンソンEPA害虫対策室次長は話す。
新しいセーフガードでは、種苗会社がBt作物の害虫抵抗性を検出するようモニターすることと、農家への緩衝帯の設け方を指導することが含まれている。
環境団体はEPAを非難
環境団体は、EPAの決定に対し「危害より恩恵が上回るという結論には賛成できない。7年間の更新は、EPAにとって、今後数年の中に出る新たな科学的情報への対応を難しくしてしまう。」と、懸念する科学者連盟のバイテク専門家ジェーン・リスラーは話す。
環境団体は、殺虫剤の使用量が減るという産業界の主張にも反論している。また、EPAがコーネル大学、アイオワ州立大学、ミネソタ大学などの研究者が提起している新たな懸念についても調査していないと非難している。
これら3大学は、Bt作物の花粉や葯を食べる毛虫へのリスクが判明するまで、決定を延期するか、1年間の暫定更新を要請しており、これに対しEPAは、オオカバマダラについては特に綿密に調査し、この蝶の数が減るような影響を示す証拠はなかったとしている。
米国コーン生産者協会は歓迎
「EPAは、2年間Btコーンを詳しく調査して人にも環境にも危険はないと判断した。」と流通グループは話し、多国籍アグリビジネス企業シンジェンタも、「Btコーンは、最新技術で農家が健全な作物を量産できるようにするもので、予防的に害虫が抵抗力を持たないようにするのは当社やここの農家にとって長期的利益につながる。」と述べている
EPAは、新たな予防措置(セーフガード)を求める。
EPAはモンサント、デュポン、シンジェンタ、ダウに対し、次の項目を含むBtコーンの安全な使用を確実にするよう要求した。
● 農家に害虫が抵抗力を持たないようにする最善の栽培法を指導する。この新たな要件が、 契約農家に守られるように独立した調査団体が毎年検査する。
● Bt蛋白の土壌残留期間を確認するデータの収集。
● オオカバマダラへの長期的影響を調べる。
● 鳥類や昆虫への影響調査。
● 害虫抵抗力調査計画と、抵抗力の兆候に関する年次報告の提出。
● 害虫抵抗力ができたときの対応策を準備する。
この新たな予防措置は今月始めEPAがBt綿の登録を更新すると決定したときに出したものと似た内容になっている。