アヴェンティス社とEPA(環境保護局)は、スターリンクコーンの食品混入を認知していた
ニューヨーク・タイムズ 2001年9月4日
アンドリュー・ポラク記者 訳 道長
政府文書によれば、遺伝子組み換えのスターリンクコーンを推進した会社と政府は、環境保護の運動家がタコスシェルの中にそれを見つけ出す一年半以上も前に、人間用の食品供給に入り込んでいるのではないかという何らかの指摘をしていた。スターリンクはそれがアレルギー反応を引き起こすかもしれないという懸念から、人の食用でなく、動物のエサとしての使用が認可された。しかしながら、昨年の9月、地球の友はタコスシェルの中にその痕跡を発見した。それと、その他の食品の中からの発見は、食品の回収と米国産コーンの輸出の下落を促した。
しかし、タコスシェルから発見した9ヶ月前の1999年12月に行なわれた調査では、スターリンクを栽培している230人の農家のうち2人が、それを食用として、あるいは輸出用として売却したと報告した。一方、その他の12.6%の農家は、彼らが売却した後、そのコーンになにが起こるのかということを何も知らなかったと述べている。そのコーンはそれが欧州と日本で承認されていなかったため、輸出されるとは考えられなかった。
この調査はスターリンクの開発者、アヴェンティス クロープサイエンスにより依頼されたが、2000/7/27付の報告書の中で環境保護局に対しその結果を送っている。アヴェンティス(ニュース引用)レポートの一部は、遺伝子組み換え食品に批判的なワシントンの団体、食品安全センターの情報公開請求で得られたのである。
バイオテクノロジーの批評家はこの事件が環境保護局の統制のゆるさを示していると指摘する。「その認証過程は機能しなかったという危険信号をその事件は発したのである」と食品安全センターの法的理事、ジョセフ・メンデルソン三世は言う。「明らかに彼らは、困惑を前にするまで何一つしなかったのです。」ある環境保護局のスポークスマンは「当局がこの事柄について調査中である」と述べた。
「会社はわたしたちが栽培者調査にどう答えるか不愉快に思っている」とあるアヴェンティス社員は述べた。当社の重役は、「外部の市場調査会社によるその調査が匿名であるからには、不適切な用途のために自分たちのコーンを売却している農家の身元を特定するのは不可能である」と述べた。アヴェンティス社員らはいつも、彼らの身元が明かされないという条件のもとで、レポーターに答弁しているのだ。
いわゆるBT作物(害虫を殺す毒素を作るバクテリア遺伝子を含む、遺伝子組み換えコーンと綿)に対する承認を一新するかどうか環境保護局は現在考慮中である。メンデルソン氏は「スターリンク事件はこれらの作物に関して『害虫が毒素に抵抗性とならないよう、密植を防ぐ目的の必要条件のような』規制が適切に行使されるのだろうか」という疑問を発したと述べた。
アヴェンティス社から環境保護局に提出された報告書は、正式に認可された用途にスターリンクを制限する政策は『効果が高かった』と述べている。調査では種子会社と契約を結んでいる栽培者の8%に質問をした。しかしながら、スターリンクに関する状況が公なものになってからは、多くの農家は「このような契約はしていない」、あるいは「制限などなにも知らなかった」と述べたのである。
昨年9月にスターリンクがタコスシェルの中から発見されたとき、環境保護局もアヴェンティス社も両者ともそれが起こる兆しさえなかった、などと指摘した。
環境保護局の行政官補佐であるステファン・ジョンソンの「もし我々の認可プロセスの違反があったとすれば、我々は非常に大きな懸念を持つであろう」という言明は、タコスシェルの発見をレポートしたワシントンポスト紙(報道引用)の報道として引用された。アヴェンティス社のスポークスマン、マーガレット・ガズビーの言明として、「我が社は、人用の食品供給において、我々のコーンがどういう経路をたどったのか想像するのに苦慮します。」と報じられた。
今のところ、まだスターリンクがアレルギーを引き起こすという証拠はない。政府のテストでは、スターリンクが含まれていたと思われる食品を食べた後で、政府に訴え出た17名のアレルギーの証拠を見つけることはなかった。
その17人のうちの一人であるフロリダの検眼士、キース・フィンガーは昨日、彼は『ほぼ間違いなく』スターリンクに対し、アレルギーがあると診断する、彼のかかっているアレルギー専門医からの手紙を公表した。
フロリダのヴェロビーチのアレルギー専門医ノーマン・ワサマンは、スターリンクの抽出液を皮膚に刺すテストでフィンガー検眼士は反応を示した、とその手紙のなかで診断している。フィンガー検眼士は、アヴェンティス社と反応を引き起こしたと彼の言う食品を作った会社に対して、訴訟を起こしている。