アメリカ産の肉が抗生物質耐性菌で広範に汚染
フロリダ州オルランド発
ロイター(2001年5月24日)
訳 河田昌東
合衆国FDA(訳注:食品医薬品局)が行った予備的な調査によれば、アメリカのスーパーマーケットで売られている牛肉と鶏肉に比較的高いレベルで抗生物質耐性菌が検出された。当地で開かれた第101回アメリカ微生物学会年会で22日(火曜日)FDAが発表した。
その研究によれば、FDAの研究者達はワシントン州内のいくつかのスーパーマーケットで購入した肉のEnterococcus(訳注:腸内細菌の一群)を分析した。「彼らは多種類の薬剤に耐性を持つ細菌をかなりな量発見した」とこの学会に参加したFDAの微生物学者David Wagner博士は言った。
それによると、Enterococcusは鶏肉には67%、七面鳥肉には34%、牛肉には66%の割合で検出された。研究者達はこれらの細菌に対し29種類の抗生物質(家畜飼料に認可されている6種類を含む)の耐性を試験した。鶏と七面鳥の肉のほうが牛肉よりも抗生物質耐性菌が多かった。
彼はこの研究はサンプル数が比較的少なく(牛肉は24サンプル)、鶏生産の方が牛の生産よりも広く抗生物質を使っているからではないか、とワグナー博士はいった。
これが公衆の健康に悪い影響を与えるかどうかを決めるにはサンプル数が少ないが、アメリカでの肉の生産に使われる薬剤の種類と量を減らすための政策をとるかどうか決めるための資料にはなる、とワグナー博士は付け加えた。 何らかの決定をする前には「全国的な規模のもっと徹底的な監視の必要があり、今回の研究がそのはじめになると思う」と彼は言った。
河田注: この汚染がGM作物の抗生物質耐性マーカー遺伝子による腸内細菌との組換えかどうかは不明だが、耐性菌の遺伝子を分析すれば判明するだろう。もし、マーカー遺伝子であれば、問題は大きく展開する。今後の調査を慎重に見守ると同じに、厚生労働省による国内での調査も必要である。