かつてない大規模な人体実験―GM食品
マーサ・ハーバート
シカゴトリビューン ボストン発
2000年9月3日
今日スーパーの店頭に並ぶ食品の殆どは遺伝子組み換え原料を使っている。私は医師として、本人の承諾を得ずに人体実験などは決してしない。不法だし不道徳だ。しかし、組み換え食品メーカーは我々をかつてない人体実験に晒している。
5年ほど前から検査も表示もない異物遺伝物質で市場を溢れさせてきている。これらの遺伝子組み換え食品は新たな蛋白質で日持ちを良くしたり、殺虫剤を自ら作り出したり、除草剤をどんなにかけてもよかったりで非常に危険である。企業も政府もこの蛋白や作物自体人体に、特に赤ちゃんや高齢者や病人に、どう影響するのか試験していない。毒ではないのか? 免疫異常を起こさないのか?幼児の神経系の発達を阻害しないのか?これらが答えられるまで、食品から排除しなければならない。
小児神経科医として特に子供に組み換え食品が安全か心配だ。幼児の免疫系は完全には出来上がっていない。だから小児科医は未成熟な内臓や体に新しい蛋白質を与えるのには慎重だった。疝痛のある子は大豆に変える。この子にとって何ヶ月も摂り続けることになるものなのにその安全性は分からない。親は、表示がないので望む望まないに関わらず組み換え食品を赤ちゃんに与えている。普通の食事中の蛋白質でも、早すぎると自己免疫、過敏症、アレルギー反応を後で引き起こす。
喘息の流行(1980年)は尚早な離乳食に関係があるという研究がある。自閉症や集中力欠如は特定の食品で悪化する。ここで更に表示のない試験もしていないものが入り込でいるのに、免疫システムの弱い何百万人もの人がどう反応するか、新蛋白やウイルスの破片がどんなものか誰も監視していない。表示がなければ影響調査が不可能だ。これは“まともな科学”ではないしまともな公衆衛生でもない。
バイテク業界とFDAは従来の育種と変わらないのだから遺伝子組み換え食品を試験する必要はないという。鶏の遺伝子をリンゴに入れたり、魚の遺伝子をイチゴに入れたって構わない。だけど異種生物に遺伝子を挿入するやり方が、他の重要な遺伝情報を破壊する可能性がある。それがどんなものかは分からない。誰も試験していないし、バイテク企業も万全の健康調査や市場に出す条件などを求められていない。
最後に抗生物質耐性の問題がある。組み換えが上手くいったかどうかを見るためにマーカーとして組み込んでいる。企業は、より強力な耐性菌を生み出す危険を強引に無視して、便利さだけのために使っている。自然の中で耐性遺伝子は種を越えて移ることが知られている。そのようなものが人体に入り込むと良く使われるアンピシリンのような薬が使えなくなる。
試験されていない組み換え食品を生産したり市場に流す前に、完全で周到な長期的第3者評価が必要だ。そして表示。”用心に越したことはない”と小児科医が両親に助言するように。
この文書は、Title 17 U.S.C. Section 107に従って、研究と教育目的のみに配信する。