サナテックシード株式会社 及び
パイオニアエコサイエンス株式会社 に対する
『要請文』  

2020年12月--日
サナテックシード株式会社
代表取締役会長 竹下 達夫 殿
取締役最高技術責任者 江面 浩 殿

パイオニアエコサイエンス株式会社
代表取締役社長 竹下 達夫 殿
遺伝子組換え食品を考える中部の会
代表 河田昌東
事務局:食と環境の未来ネット
〒461-0004
名古屋市東区葵1-14-3
TEL:052-937-4817
FAX:052-932-8234
E/mail:nonchan-milk@athena.ocn.ne.jp
http://gm-chubu.sakura.ne.jp/

要請文

私たちは、食と農の安全について取り組んでいる民間団体です。

サナテックシード(株)がゲノム編集技術を用いて改変したトマト「系統#87-17」を親としたF1種「シシリアンルージュ・ハイギャバ」を、サナテックシード(株)とパイオニアエコサイエンス(株)が栽培モニターを募り、苗の販売・無償提供を行おうとしていることが両社のホームページなどで公表されています。

この事実に関して、日本の食と農および生物多様性の安全を守るために、私たちは下記の件を要請します。
[要請1]
シシリアンルージュ・ハイギャバの苗の無償提供と栽培モニターの募集を中止すること。
両社は、シシリアンルージュ・ハイギャバの苗の栽培モニターを募集しています。しかし、同トマトを摂取することによる安全性について、動物実験およびヒトを対象とした臨床実験を行ったという記録が確認できません。この苗の配布は不特定多数の家庭菜園での栽培を対象としていて、交雑による遺伝子汚染を拡散する恐れがあります。また、栽培した市民が食することを前提としています。つまり、この苗の配布は、市民を利用した人体実験です。
[要請2]
シシリアンルージュ・ハイギャバの農家向け種苗の販売を中止すること。
シシリアンルージュ・ハイギャバの親株となったゲノム編集トマト「系統#87-17」について、厚生労働省に届出された資料ではオフターゲットについて矛盾する記述があり、意図しない遺伝子改変が起きている可能性が否定できません。シシリアンルージュ・ハイギャバはF1種ではありますが、農家で栽培された場合、その花粉が別の種のトマトと交雑する可能性があり、意図しない遺伝子汚染が引き起こされる可能性があります。
[要請3]
両社のホームページに記載されている「GABAトマト(シシリアンルージュ・ハイギャバ)を食べると血圧が下がる、ストレスが軽減される、よく眠れる」などの記述、および動画を削除すること。
GABA(γ-アミノ酪酸)の経口摂取による血圧降下、自律神経活動の活性化、ストレス緩和などについてはさまざまな研究が行われ、エビデンス(科学的根拠)も提示されています。しかし、シシリアンルージュ・ハイギャバの摂取によって同様の効果が得られるとの研究報告は見当たりません。ホームページのこれらの記載は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に抵触する可能性があります。
以上

要請文宛て先: サナテックシード株式会社
代表取締役社長 竹下達夫
〒:105-0001
住所:東京都港区虎ノ門3-7-10
   ランディック虎ノ門ビル7F
Tel:03-6432-4051
Fax:03-6432-4051
https://sanatech-seed.com/ja/
E/mail:careers@sanatech-seed.com


■ サナテックシード社からの回答
2020年12月21日
遺伝子組換え食品を考える中部の会
代表 河田昌東様
サナテックシード株式会社
弊社商品への要請に対する回答

弊社が開発した GABA高蓄積トマトにご関心を頂き、また貴重なご意見を賜り感謝申し上げます。いただきました令和2年12月18日付要請について、以下のように回答させていただきます。

1.安全性や環境影響に対するご懸念について
 現在我々が食べたり栽培したりしている作物は、ゲノム配列の変化(変異)により、目的の性質に変わったものを選抜また交配して、野生の植物からより育てやすく、食べられるように作り変えてきたものです。今回弊社が利用しているゲノム編集技術もその品種改良技術の一つであり、標的の配列に変異を導入することができる技術です。国の制度のもと、ゲノム編集技術を用いてできた生物のうち、外部から導入した他の生物の核酸が残っておらず、数塩基の変異を導入した生物については任意の届出や情報提供を行うこととなっています。弊社のゲノム編集技術により作出したGABA高蓄積トマトについても、1年を超える事前相談により、今回の届出や情報提供に当たり、遺伝子組換え生物には当たらないと判断されております。さらにこの事前相談では、安全性や生物多様性への影響について問題ないとされたところであり、科学的に従来の品種改良と同等の安全性が担保されていると判断します。

2.オフターゲットによる環境影響に関するご懸念について
 前述の通り、国の制度に従い、弊社のゲノム編集技術により作出したGABA高蓄積トマトについては、1年を超える関係省庁との事前相談と専門家による検討の結果、競合における優位性、有害物質の産生性、交雑性に関する考察から生物多様性への影響はないと判断されております。また現在我々が食べている品種は、意図しない変異から有望な形質が現れたものを、長い歴史の中で選抜しつくられてきました。もし影響のある変異が導入された場合も選抜し、取り除くことが可能です。弊社も今回届出を提出した系統を決める際に、複数の観点で調査した上選抜し、その性質が安定するよう自殖による固定をしています。

3.GABAの効果とその表現にについて
 GABAの効果は様々な研究により、1日に約20mg程度摂取で血圧の降下作用やストレス緩和作用があることが知られています。弊社のシシリアンルージュハイギャバは、弊社管理の温室内で生育したものでは、100g中約90mgのGABAが含まれており、これらの効果が期待されるものです(機能性表示に関する届出を提出予定)。ただご指摘の通り、シシリアンルージュハイギャバ自体の摂取による効果は現在調査中です。直接シシリアンルージュハイギャバを摂取して効果があると記載した箇所はございませんが、表現の仕方については今後も深く注意をして参ります。

 GABA高蓄積トマトの登場を待たれている消費者の皆様の期待にお応えできるように、今後もゲノム編集技術や弊社の商品についての情報発信に努めて参ります。

以上
(参考)
農林水産省 HP
情報提供書が提出された農林水産物一覧
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/nbt_tetuzuki.html

厚生労働省 HP
届出されたゲノム編集技術応用食品等
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/index_00012.html


問合先など(遺伝子組換え食品を考える中部の会調べ)
厚生労働省:ゲノム編集食品等

ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧20/12/11
問合せ:
厚生労働省 医薬・生活衛生局 食品基準審査課 新開発食品保健対策室
E/mail:ISESHINKAI@mhlw.go.jp
TEL :03-5253-1111 (内線 4270・4284 )
FAX :03-3501-4868

サナテックシード社:https://sanatech-seed.com/ja/
問合せ:
サナテックシード株式会社
代表取締役社長 竹下達夫
〒:105-0001
住所:東京都港区虎ノ門3-7-10
   ランディック虎ノ門ビル7F
Tel :03-6432-4051
Fax :03-6432-4051