運搬中の遺伝子組換えナタネこぼれ落ちに対する抜本的対策の要望
【要望】 |
1. | 運搬中の遺伝子組換えナタネこぼれ落ちを激減させるための抜本的対策を早急に検討し、実施する事を要望します。 |
2.
| 上記抜本的対策として、ナタネ運搬トラックの密閉型粉粒体運搬車(バルク車)への総入れ替えを実施することを要望します。 |
私たちは2004年以来、三重県と愛知県の遺伝子組換え(以下GM)ナタネの自生調査と抜取り活動を続けてきた市民団体です。
2015年5月31日に実施したGMナタネの抜取り活動では、抜取り本数が3,200本余り(北玉垣―三重大学前約20km区間)と過去最高を数えました。そのため、同年8月、御社に対してこぼれ落ち防止のための抜本的対策として、トラックの改善申入れを行いました。しかしながら御社が検討した結果、現状の荷台構造ではこれまでの改善よりも効果的な対策が取れないとの結論に達したと聞いております。
ところが翌2016年4月3日の抜取り活動においては、抜取り本数6,200本(北玉垣―三重大学前約20km区間)とさらに倍増しており、私たちはこの状況に強い危機感を感じています。全区間(約40km)に換算すると10,000本を超えるわけで、隔離されていない約4haもの面積で、年中こぼれ落ちと交雑を繰り返しながらGMナタネを栽培していることにほかなりません。
また近年は、雑種(GMナタネと野生種との交雑)の種類や数に増加の兆しがあり、三重県の生態系への影響、ひいては農産物にGM汚染が広がって、取り返しのつかない事態を招きかねない懸念があります。
すでにご承知と思いますが、2006年に日本種苗協会は国に対し、GMナタネの承認申請に対して『不承認』とするよう意見書を出しています。この意見書はこぼれ落ちて野生化したGMナタネが伝統的な在来品種と交雑したり、交雑した後代との交雑が多発して、栽培種の採種や青果物流通に影響を与えることを懸念したものです。
カルタヘナ議定書第5回締約国会議が名古屋で開催された2010年、三重県(農政部)は「みえの伝統野菜」の1品種である『三重なばな』の採種場を県内から他県へ移したと発表しました。しかし、一般の農家や家庭菜園では、現在も四日市市から伊勢市に至る地域で、露地栽培で採種しているとのことで、GM汚染への懸念を募らせていると聞いています。
一方、韓国ではGMナタネの輸入は承認しているものの、日本と異なり、栽培は承認していないため、輸入のGMナタネの流通は密閉タンク型のトラックで輸送されており、こぼれ落ちは見られないとのことです。
2015年8月の申入書にも記述したとおり、御社と市民団体による抜取り活動は、交通量の多い国道23号では極めて危険な作業であり、いつ事故が起きるか、行政側によって禁止されるかの瀬戸際で、その継続は限界にきています。10年に亘る抜取り活動で、抜取るだけではGMナタネの自生数を減らせないことはすでに明らかであり、三重県においてGM遺伝子の拡散を発生させないためにも、抜本的な対策を早急に実施するようにお願い申し上げます。
以上 |
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