関連団体への要望 三重県知事あて

遺伝子組換え食品を考える中部の会では、関連企業、団体に対し、ナタネのトラック輸送について、抜本的な改善を求めて要望を行いました。


三重県知事
鈴木英敬 殿

2016年9月21日


遺伝子組換え食品を考える中部の会
代表 河田昌東


遺伝子組換えナタネの輸送に関する要望

【要望】
1.
製油会社に対し、遺伝子組換え(以下GM)ナタネが運搬中にこぼれ落ちないよう、運搬トラックを密閉型粉粒体運搬車(バルク車)に変更するよう、指導を徹底してください。
2.
製油会社がトラックを密閉型粉粒体運搬車(バルク車)に変更できるよう、行政より費用の交付・助成・補助等による金銭的支援を行ってください。
3.
GMナタネの雑種とその親植物の品種について研究し、研究結果を開示してください。
私たちは2004年以来12年余り、三重県と愛知県のGMナタネの自生調査と抜き取り活動を続けてきた市民団体です。GMナタネ問題については、三重県対し2004年、2010年、2015年にも申入れをしていますが、いまだ明快な解答をいただいておりません。

全国でもGMナタネの自生数が飛び抜けて多いのは三重県であり、国道23号沿い(四日市港−嬉野)の約40kmに及んでいます。三重県におけるGMナタネの自生情況は、2015年5月31日に実施したGMナタネの抜取り活動で、抜取り本数が3,200本余り(北玉垣―三重大学前約20km区間)に上ったことは既に報告した通りです。その後2016年4月3日の抜取り活動に於いては、6,200本(北玉垣―三重大学前約20km区間)と過去最高となっており、この状況に強い危機感を感じています。全区間(約40km)に換算すると10,000本を超え、隔離されていない約4haもの面積で、年中こぼれ落ちと交雑を繰り返しながら、GMナタネを栽培していることに相等します。

すでにご承知と思いますが、2006年に日本種苗協会は国に対し、GMナタネの承認申請に対して『不承認』とするよう意見書を出しています。この意見書はこぼれ落ちて野生化したGMナタネが伝統的な在来品種と交雑したり、交雑した後代との交雑が多発して、栽培種の採種や青果物流通に影響を与えることを懸念したものです。

カルタヘナ議定書第5回締約国会議が名古屋で開催された2010年、三重県(農政部)は「みえの伝統野菜」の1品種である『三重なばな』の採種場を県内から他県へ移したと発表しました。しかし、一般の農家や家庭菜園では現在も四日市市から伊勢市に至る地域で、露地栽培で採種しているとのことで、GM汚染への懸念を募らせていると聞いています。

私たちの調査では愛知県の名古屋港から三重県に至る国道23号沿いにもGMナタネの自生は続いており、今三重県がGMナタネの自生を放置した場合、愛知県側にもGM汚染が広がって、取り返しのつかない事態を招きかねません。
抜取り活動は、国内で栽培する野菜にGM汚染を拡げたくないという思いの市民によって支えられていますが、国道23号沿いの抜取りは、非常に交通量が多く危険な作業です。特に自生ナタネの多くは中央分離帯に生えており、いつ事故が起きるか、抜取り活動を行政側から禁止されるかの瀬戸際で限界にきています。こぼれ落ちを激減させるためには、トラックを完全な密閉型粉粒体運搬車と総入れ替えするしかありません。製油会社がこの抜本的な対策を実施するように、行政側からの指導の徹底をお願いします。

また近年は、雑種(GMナタネとアブラナ科の野生種との交雑)が明らかに目立つようになってきています。2010年には四日市市から津市にかけての国道23号沿いにハタザオガラシとの雑種が見つかっています。これらの個体には、@除草剤耐性タンパク質が検出される、A近くにその親植物と思われるセイヨウナタネ、ハタザオガラシが生えている、B葉や花がセイヨウナタネより小さい。種子は不稔が多く、一部にナタネ様の種子を付けている、C花粉がないこと等のいくつかの特有の特徴があります。しかし、現時点では雑種かどうかを証明できていません。これらの個体が雑種であるのか、あるいはほかの植物であるのか、品種の特定を研究機関で明らかにしてください。

関連企業あて
東海農政局あて