今回は少人数による大雑把な調査であったため、右の地図のように行程をくまなくというわけには行きませんでした。しかしながら交雑雑草と思われる13検体を採取し、試験紙による簡易検査の結果、うちなんと12検体が除草剤ラウンドアップ、バスタいずれかのGM陽性であることを確認しました。
現在に至るまでの国の見解では、ラウンドアップ耐性(RR)の『交雑性』に関しては:
『我が国の自然環境中には多くのアブラナ科植物が生育しているが、セイヨウナタネ(Brassica napus)と交雑可能な種として、セイヨウナタネ自身のほかに Brassica 属に属する B.rapa(カブ、コマツナ、在来種ナタネ等)、B.juncea(カラシナ、タカナ等)、B.nigra(クロガラシ)及び Raphanus rahanistrum(セイヨウノダイコン)が知られている。
セイヨウナタネ、B.juncea、B.nigra、R.rahanistrum は、すべて明治以降に人為的に我が国に導入されたとされる外来種であり、また B.rapa についても我が国への導入時期は古いが、栽培由来の外来種であり、いずれも影響を受ける可能性のある野生動植物としては特定されない。
以上のことから、影響を受ける可能性のある野生動植物などは特定されず、交雑性に起因する生物多様性影響が生ずる恐れはないとの申請者による結論は妥当であると判断した。』とある(農林水産技術会議/農作物分科会における検討の結果(平成19年7月26日)より引用)。
またバスタ耐性(LL)の『交雑性』についても同様な判断がなされています。

| 『高浜新町』交差点すぐ南。同じ割れ目から自生するセイヨウナタネと交雑雑草(クリックで拡大) |
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今望まれること
カルタヘナ議定書で問題になるのはGM作物などが国際間を(輸出入などで)移動する場合に考えられる汚染などによる被害をだれが担保するのかという点です。
現在日本国内では、国が安全性を認めたGM作物については「問題がない」ということになっており、それを規制する手立てがありません。
にもかかわらず、何らかの問題が「起こりうる」わけであり、環境に対しても問題がないとは言い切れないはずです。
また、なぜ安全なのかという事柄の根拠についても、左に示したように非常に曖昧です。
要するに安全か否かについては判断がつかない。つまり「わからない」というのが現状なのです。
『外来種』の定義についても非常に曖昧です。また影響を受ける可能性のある『外来種』が特定されないからといって、アブラナ科全般の植物に対しても影響がないということにはならないはずです。
この『わからない』という現状の中で今必要なこととは、まず第一にカルタヘナ議定書が意味するところを正しく国内法に反映させることではないでしょうか。
第二に今日本国内のナタネ輸入港周辺で起こっているGM汚染に対し、その現状を正しく認識し、可能性のあるリスクに対する予防措置として適切な処置をおこなうべきです。
民間レベルの活動に限界
2004年から各地でおこなわれてきた民間レベルのGMナタネの駆除活動ですが、わたしたち『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』をはじめとする市民による活動だけでは非常にむつかしいという結論を導き出さざるを得ません。
中部の会の経過では、2004年の調査活動の段階から2006年よりの抜取隊による駆除活動と発展してきたものの。その成果はあがっているとはとてもいえません。さらには様々なアブラナ科植物との交雑が確認される結果ともなり、今後、とても民間レベルでのGMナタネ問題の解消は不可能といわざるをえません。 |
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