遺伝子組み換えイネ研究説明会 
01/8/27(月)
(於:愛知県農業総合試験場)

主題:遺伝子組み換えイネ研究の現状と今年の計画


研究の現状:
  
■■環境安全性について
導入遺伝子の発現(実際にラウンドアップ耐性なのかどうか)
形態及び生育特性
生殖に関する特性
雑草化に関する特性
生態系への影響
以上について従来のイネと同じとの見解

交雑による遺伝子拡散についての農試の見解
稲の花粉の寿命は約5分、開花時間は1〜2.5時間程度で、自花の花粉で受粉する自家受粉作物。また、開花直前に受粉するため、自花の葯が異常で開花前受粉がおこなわれない場合に、開花時に他花から飛来した花粉で受粉する。
一般的にイネでは、隣接葯の交配率は2%以下とされており、20m以上の距離があれば交雑する可能性はないものと考えられる。
生態系への影響(周辺植物相)
雑草の発生率:コナギ、イヌビエ、クログワイ、カヤツリグサ、アセビなど、特別な変化はない。
生態系への影響(飛来昆虫相)
セジロウンカ、ヒメトビウンカ、ツマグロヨコバイ、イネアザミウマ、トビムシ、ユスリカ、ハナカメムシなど、特別な変化はない。
なお、実際一般の水田でGMイネが栽培されるとしたならば、交雑ということは避けられない、というのが農総試側の見解であるとのこと。

■■ 平成13年度の研究計画
3系統を用いた選抜・育成と特性評価(隔離圃場と温室に限定して試験をおこなう)

@隔離圃場での系統選抜
   選抜目標:イネの背丈、もみ粒の大きさなど

A温室での『祭り晴』への戻し交配
   交配回数:3回/年、世代促進温室使用

注:
系統:
まだイネの品種として認められていないが、形質はイネ(祭り晴)のそれを備えているという状態。
戻し交配:
今回の場合、隔離圃場で得られた種籾を、非組み換えの祭り晴に交配、その種籾をまた祭り晴に交配する。品種の固定をするための作業で、5回程度の戻し交配が必要とされます。


隔離圃場内のGMイネ
8/27現在では、@の隔離圃場での栽培試験がおこなわれており、その3系統からの選抜がおこなわれます。
今後、Aの戻し交配が繰り返されます。この作業は隔離圃場でのイネの収穫が終り、種籾(もみ)が得られてからとなります。
さらに戻し交配が温室でおこなわれるため、早くても2003年の4月までは戻し交配がおこなわれることになるのかもしれません。
なお、2002年は隔離圃場での栽培試験はしないとのこと。
隔離圃場のGMイネの収穫は01/9/26に行なわれ、収量・品質についてのチェックがおこなわれる。

GMイネの隔離圃場栽培見学会
01/09/26
隔離圃場内で01/9/26収穫予定のGMイネを前に説明を聞く参加者