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遺伝子組換え作物の栽培に対する基本認識
遺伝子組換え作物が環境に与える影響や、食品としての安全性の評価については、一定の基準に基づき国で実施されているところであるが、都民は遺伝子組換え作物の実用化に不安を抱いているのが現状である。
したがって、遺伝子組換え作物を栽培する場合に、地域への適切な情報提供や周辺作物との交雑防止措置など、一定のルールに基づく配慮がなければ、地域で混乱が起こる可能性がある。 |
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指針策定の目的
この指針は、遺伝子組換え作物の栽培によって生じる一般農作物との交雑と収穫後の混入、またそれに伴う経済的被害など生産・流通上の混乱を未然に防止し、都内産農産物が今後も引き続き都民の信頼を得ていくことを目的とする。 |
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指針適用対象の範囲
この指針の適用範囲は、カルタヘナ法による第一種使用等を対象とし、農業者等が都内の一般ほ場で行う遺伝子組換え作物の栽培及び試験研究機関等が都内の隔離ほ場で行う遺伝子組換え作物の試験研究栽培とする。
なお、第二種使用等については除外する。 |
4 | 指導方針 |
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(1) |
一般ほ場での栽培
都は、都内の一般ほ場で遺伝子組換え作物を栽培しようとする者に対して以下により指導する。
ア) | 事前に近隣住民や農業者に十分な情報公開を行い、栽培について理解を得ること |
イ) | 非組換え作物との交雑防止措置や収穫後の混入防止措置を図ること |
ウ) | 交雑・混入が生じた場合の措置や経済的被害への対応の考え方、管理責任者などを明らかにすること |
エ)
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上記事項を明記した栽培計画書を事前に都に提出すること
都は提出された栽培計画書を個別に審査し、その妥当性を判断するとともに、必要に応じて助言指導を行う。 |
上記に拠らず遺伝子組換え作物を栽培していることが判明した場合は、都は栽培者に対し上記の1)に準じた対応を行うよう指導する。 |
(2) |
当面の対応
一般ほ場における栽培について、審査体制が整うまでの当面の間は、食用作物に交雑するおそれのある遺伝子組換え作物については、これを栽培しないよう指導する。 |
(3)
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隔離ほ場での試験研究栽培
都は、都内の隔離ほ場で試験研究栽培をしようとする者に対し、事前に都に情報提供を求める。また、「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」に準拠するとともに、万一、交雑・混入が生じた場合の措置や経済的被害への対応の考え方を付加した実験指針を策定するよう指導する。 |
(4) |
公表
(1)から(3)の指導に応じないで遺伝子組換え作物を栽培しようとする場合には、その旨を公表する。 |
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都の対応
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都の施策の方向
都の試験研究
遺伝子組換え研究については、当面、食用作物は対象としない。
農業振興施策
都内産農産物の「安全・安心」を確保するための施策を推進するとともに、将来に向けて遺伝子組換え作物との「共存」施策を検討していく。
情報公開
遺伝子組換え作物の問題について、積極的に情報提供を行い、都民の間で論議を深めていくとともに、食や農に対する知識や理解を深め、風評被害の防止に努めていく。 |
(2)
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国への要望
以下の事項について、国へ要望していく。
一般ほ場における遺伝子組換え作物の栽培指針を策定すること
「第1種使用規定承認組換え作物栽培実験指針」に経済的被害への対応の考え方を追加するとともに、大学等の実験施設へも適用させること
非組換え作物との交雑など周辺環境への影響に関する調査・研究を充実し、その情報を積極的に提供すること |
(3) |
具体的な実施内容
この指針の実施に関し必要な事項は、別途定める。 |
(4) |
指針の見直し
この指針は、今後の自然科学的知見や社会状況の変化に応じ、随時、見直しを図っていく。 |
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